海難事故のない安全ないわきの海にしようと、地元のサーファーたちが救命技術を身に付ける講習会が、6月9日、いわき市の大教スイミングスクールで開かれました。去年、いわき市四倉海岸で初開催されたのに続き今回が2回目。多くのサーファーや家族連れが来場し、海で身を守り命を救う技術を学びました。
この会の企画に関わっているのが、常磐病院の看護師でありサーファーの大垣竜一郎さん。海をよく知るサーファーが救命技術を身につければ、よりいわきの海が安全になるのではないかと考え、講習会を構想したそうです。
この日は、消防のレスキュー隊員が一次救命を、海上保安部ヘリコプター部隊が吊り上げ訓練のデモンストレーションを、さらに、いわきサーフライフセービングクラブがレスキューボード・レスキューチューブを使った救助訓練をと、異なる立場の人たちが、それぞれのスキルを伝える講習会となり、充実した学びの時間となりました。
毎年どこかで必ずと言っていいほど起きてしまう海難事故。消防や海上保安庁、現場のサーファーやライフセーバーなど、様々な立場の人が海の安全を守ろう活動していますが、それぞれが独自の行動規則を持っており、これまでは、こうした連携を図ることが難しかったといいます。
しかしこの日は、多様な立場の人たちが笑顔を見せながら共に刺激し合い、共に学び合う姿が見られました。「心肺停止から2分以内に心肺蘇生を開始できれば9割が蘇生できるという統計もあり、居合わせたサーファーが救助活動を行うことのメリットは非常に大きいと思います」と大垣さん。サーファーの役割の大きさを感じていらっしゃいます。
こうして防災のプロとサーファーとが「顔が見える関係」になれば、いざという時の対応力が変わってきます。そこまで連携できるのは全国でも珍しいとのこと。サーファーの多いいわきならではの素晴らしい活動になるはずです。
福島県は、震災と原発事故で長く海で遊ぶことのできない日が続きました。「海で遊ぶ」ことは、物理的にも心理的にも次第にハードルが高くなり、余計に海への足が遠のいてしまう。福島県内では今年も複数の海水浴場がオープンしますが、来場客数は震災を大きく下回ったままです。
子どもたちと海をもう一度繋げにるには、海の怖さを知っている人、人の助け方を知る人を増やすことが大事です。
その意味で大垣さんの活動は、海の安全をさらに高めるだけでなく、福島県の海の魅力の発信にも関わる活動にもなっています。安全だからこそ海との距離が近くなる。また以前のように、海に人が集う・・・。
こうした地道な活動の先に、福島の海がかつての姿を取り戻すヒントが見えてくるのかもしれません。私たちも、大垣さんたちの活動を応援していきます。
(専任事務局員:小松)
イベント名 | 海難事故救助技術講習会 |
参加人数 | 50名 |
日程 | 2019年6月9日(日) |
場所 | 大教スイミングスクール |
主催 | 医療法人ときわ会「常磐病院」 |
協力 | いわき市、日本サーフィン連盟福島支部、大教スイミングスクール、いわきサーフライフセービングクラブ、おなはま腎・泌尿器科クリニック |