みなさん、こんにちは! 海と日本プロジェクトinふくしまレポーターの前野です。
先日、いわき市小名浜にある道の駅「いわき・ら・ら・ミュウ」で、「祝いの大漁旗展」が開催されました。いわき・ら・ら・ミュウの2階にある展示スペース「市民ギャラリー」で開催され、道の駅に立ち寄った方が足を止め、展示を眺める様子が見られました。
展示イベントを企画したのは、いわき市の江名地区の地域おこし協力隊を務める野村史絵波さんと、夫で江名地区まちづくり協議会理事の隆文さんです。
野村さんらは、「江名地区漁具資料館をつくるプロジェクト」を発足し、港町の歴史や文化を語り継ぐ文化財である漁具の整理や、漁具の情報を収集・分類・整理して発信する活動を行なっています。この「祝いの大漁旗展」では、江名地区まちづくり協議会が所有している漁具の中から、港町らしい祝いの文化である「大漁旗」がパネルと共に展示されました。
野村さんがまとめたパネルによれば、大漁旗とは、「大漁」という文字が描かれた大きな旗を差し、船を新しく造った際に、親戚や仲間、取引先からお祝いと豊漁祈願の思いを込めて贈られるものだといいます。サイズや絵柄はさまざまで、基本的にはすべて一点もので、贈られる船の特徴や船主の雰囲気を想像しながらデザインされています。
展示では、大漁旗のデザインを紹介する「大漁旗の見方」やその年の漁獲量を誇った船に贈られる旗「優勝旗」、大量を祝い、船主から船乗りたちに贈られる着物「万祝」が解説と共に紹介されました。
鮮やかな大漁旗には、「小名浜」「中ノ作」「昭和〇〇年」など、見慣れた文字や時代を象徴する言葉が描かれていました。実際に「モノ」を見ることで、言葉や解説を見ただけの時よりも、当時の暮らしや文化を想像するスイッチが入りやすくなります。
資料である「漁具」、そして漁具を保存・管理していく価値を再確認しました。 市内の飲食展やスーパーで大漁旗を目にしたことがある方も多いのではないでしょうか? 普段何気なく目にしているものの成り立ちや用途を知ることで、自分たちが暮らす町の文化を学び、自分たちの暮らしを豊かにすることにつながっていくと思います。
時代が移り変わり、江名地区で「漁業」を直接的に感じる機会は少なくなりました。しかし、かつての営みを記録し伝える野村さんらの活動があることで、この町で生きてきた人の知恵を、今を生きる私たちが受け継いでいくことが可能になります。変わりゆく時代における「記録」について、これからも考えていきたいと思います。
| イベント名 | 祝いの大漁旗展 |
| 日程 | 2025年9月18日〜10月14日 |
| 場所 | いわき・ら・ら・ミュウ |
| 主催 | 江名地区漁具資料館をつくるプロジェクト |