5月19日と20日、いわき市の港町小名浜でハワイアンカルチャーをテーマにしたイベント「HONOHONO ONAHAMA」が開催されました。このたび新しく立ち上げられたまちづくり会社「まちもりシオカゼ」が主催したイベントです。このイベントでひと際注目を浴びたのが、小さな公園に展示された黄色のブイ(浮き)でした。
本来は海に浮かんでいるはずのブイが、なぜ、多くの花とともに展示されていたのか。そこには、福島とハワイをつなぐ「海の物語」がありました。
国土交通省小名浜港湾事務所と書かれた黄色のブイ。2013年1月に、カウアイ島のノヒリ・ポイントでアメリカ海軍によって発見されたもの、と同型のブイです。なぜ「同型」かというと、オリジナルのブイは、現在カウアイ島のポートアレン港に展示されているから。大事に保管・展示されているので、この日は同型のものが用意されました。
オリジナルのブイは、2013年にアメリカ海軍によって発見されました。海軍は、表面に記された漢字の標識とフジツボによって、海軍はこれが2011年の東日本大震災の津波によって流された瓦礫ではないかと推測。そこでホノルルの日本領事館に確認したところ、福島県いわき市の小名浜港から流れ着いたものであることが確認されました。
偶然はそれだけではありません。いわき市とカウアイ郡は姉妹都市の関係にあり、このブイの存在を知ったカウアイ郡の皆さんが、このブイを引き取り、命と希望の象徴として郡内のポートアレン港に展示することになったのです。現地の展示場所にある銘板には、このようなことが書いてあるそうです。
「この記念碑を悲しみの象徴ではなく、命と希望の象徴としましょう。記念碑の制作と贈呈にご協力頂いたいわき市と、その執念地域の人々を含む世界中の多くのパートーナーに対し、心からのマハロとアロハを送ります」と。
カウアイの皆さんは、普段は神様にしかお供えしない「生花のレイ」をお供えしてくれたり、「onahama」というハワイアンソングを作ってくれたり(これがまた素晴らしい歌なのです)、このブイをとても大事にしてくれているそうです。とても素敵な話ですよね。
そんな思いを汲み取って、ならば小名浜でもハワイやカウアイをフィーチャーしたイベントを、ということで今回の「HONOHONO ONAHAMA」というイベントが企画されたそうです。イベントでは、いわきの名産「さんまポーポー焼き」を使ったロコモコや、ハワインタロットの占い、ウクレレ奏者のライブなどもあり、いわきとハワイの関わりを改めて感じさせるイベントになっていました。
改めて感じたのは、ハワイも、福島も、広大な海を持ち、そして「太平洋」でつながっているということ。つながっているからこそ、ブイがハワイにも流れ着いたわけですから。海とは、切ろうと思っても切れないもの。その地域地域に異なる文化を生み出し、人のつながりや希望をもたらしてくれるものでもあります。
ハワイでは、今でもなお、海や山など自然に対する感謝や畏敬の念が強く残り、文化として受け継がれています。恵みに感謝し、敬い、時に畏れ、自然とともに豊かに暮らすこと。だいぶ遠回りですが、ハワイの人たちの「心」を感じることが、巡り巡って、地元の海、福島の価値、人と自然のあるべき姿をもう一度考え直すことにもなる。そんなことを感じさせてくれるイベントでした。
株式会社まちもりしおかぜでは、今後もこうしたカウアイフィーチャーの企画や、福島の海を感じることのできるイベントを企画予定とのこと。詳しくはまちもりシオカゼのフェイスブックページをチェックしてみて下さい。
(専任事務局員:小松)
イベント名 | HONOHONO ONAHAMA |
参加人数 | 1000人 |
日程 | 2018年5月19日、20日 |
場所 | いわき市小名浜「汐風竹町通り」 |
主催 | まちもりシオカゼ |
協賛 | 小名浜まちづくり市民会議 |