みなさん、こんにちは。海と日本プロジェクト in ふくしまレポーターの松井です。
今年の6月に、「海無し市」の福島市からいわき市へと移住してきました。いわきのこと、海のことをほとんど知らない私がまず手をつけたのが、いわきの海を知ること。新しくできたサイクリングロード「七浜海道」の周辺をドライブしたり歩いたりして見た風景や学んだことをレポートしています。いわき市の中之作港から始まった連載は7回目。今回は薄磯海水浴場をご紹介します。
薄磯海水浴場は全国でも屈指の水質の良さを誇る海水浴場です。実際その評判通り、海水は透き通っていて美しく、思わず足をつけてしまいました。この日は気温が30℃を超えていたのですが、海水は程よい冷たさで気持ちが良く、思い切り泳ぎたくなったのですが、今年は遊泳禁止なのでグッとこらえました。水がきれいというのは、海水浴場として1番魅力的ですよね。
薄磯海水浴場の魅力は水質だけでなく、眺めのきれいさにもあります。広い砂浜に・きれいな海があり、バックには塩屋崎灯台という素晴らしいロケーションです。この日の夕方頃には、ウェディングフォトの撮影が行われているのも見かけました。やはりこの素晴らしいロケーションなので、フォトスポットとしても人気なようです。
ちなみにあの人気バンド、くるりの代表曲『ばらの花』のミュージックビデオが撮影された場所でもあるんです。ファンの方はここでミュージックビデオを再現してみるなんて楽しみ方もできますね。
周辺もシャワーやサイクルスタンドなどの設備が整っていて、。特にサイクルスタンドは七浜海道沿いをサイクリングして訪れた人には嬉しい設備ですね。
海水浴場の方から少し離れて、薄磯海水浴場と隣にある沼ノ内漁港との間には、波によって浸食されてできた海蝕洞があります。もともとこの海蝕洞には、親より早くに亡くなってしまった子どもたちを供養する賽の河原という霊場があったんだそう。
しかし震災により大きな被害を受け、中に祀られていたお地蔵さまが埋もれてしまっていたのですが、有志の方の手により掘り起こされ、高台にある弁天岬で賽の河原が再建したんだとか。
海蝕洞の方は、埋もれてしまっている部分も多く、お地蔵さまも高台に移ったため最初は元々賽の河原があった場所はここで合っているのか不安になりましたが、中にはお供えされていたであろう子どものおもちゃや風車がまだ残っていて、確かにここに賽の河原はあったのだということを確認できました。
弁天岬の方にも行ってきました。多くのお地蔵さまが並べられており、私はその数に圧倒されました。自然と現在に比べ、赤子が無事に生まれなかったり、あるいは無事に成長するのが難しかった時代について思いを巡らせます。
賽の河原は供養の場であり、決して楽しい気持ちになるようなところではないですが、私にとっては土地の歴史や信仰について思いを巡らすきっかけになりました。賑わいのある海水浴場のすぐ近くに、こうした信仰や歴史について考えざるを得ないようなものがあるのは、ここが長い歴史が折り重なっていて、多面的な側面を持つ土地だということを感じさせます。それではまた次回。
海プロ in ふくしま レポーター:松井武郎
イベント名 | 七浜海道散歩⑦ 薄磯海水浴場 |