レポート
2023.04.12

海の道具から見る中之作【「くふう」を探す 第1回】

 

はじめまして!今月から、「海と日本プロジェクト inふくしま」事務局のレポーターになりました、池本次朗(いけもとじろう)と申します。よろしくお願いします!

 

埼玉県さいたま市生まれ。中学までは埼玉で過ごし、地方の高校へ都市部の「地域みらい留学」の仕組みを利用し、2018年に島根県の高校へ進学。親元を離れ、3年間を島根で過ごしました。高校卒業後は、神奈川にある大学に進学しました。2023年4月から大学を休学し、「海と日本プロジェクト inふくしま」の事務局を務めるヘキレキ舎にインターン生として加わっています。現在は、いわき市南部の中之作地区の古民家を間借りして暮らしています。

生まれ育った埼玉は周りを陸に囲われた「海なし県」で、島根でも山奥に住んでいたため、今まで海と関わることなく生きてきました。フレッシュな目線で福島の海にまつわる情報を発信できればと考えています!よろしくお願いします!

 

自己紹介はほどほどにして、本題に入ります。
今回紹介するのは、各地の「くふう」を考えるシリーズ「『くふう』を探す」の第1回。「中之作のくふう」についてです。

 

路上観察と「くふう」

突然ですが、みなさんは「路上観察」を知っていますか?路上観察は、道に落ちている手袋や貼り紙、植え込みなどの「道路から見ることのできるもの」を観察し、その面白さを蒐集する活動です。身近な例だと、テレビ番組の「ブラタモリ」のような。

私は路上観察がとても好きで、家の周辺や旅先で変なものを見つけるたびに写真に収めています。その中でも、あるものが用途を変えて使われている様子や生活を少し良くするためのアイデアを「くふう」と呼んで特に(偏)愛しています。

今回は私が住んでいる中之作地区で路上観察を行いました。中之作は海沿いに家が並ぶ、小さな港町です。生活の拠点としている古民家から歩いて15分ほどの範囲を歩き、見つけたものの写真を撮影するうちに、中之作の暮らしに埋め込まれた、生活の工夫が見えてきました。

発見した「くふう」

  1. (1) 水色の植木鉢。花もきれいに咲いています。
  2. (2) 並んだ発泡スチロールの箱。左側は小さな森のようです。
  3. (3) ネットと収納ボックス。様々な色の網が合わさっています。

くふう①:バケツ鉢
歩きはじめて5分ほどで見つけたのが、この鉢植え(写真1)。水色の大きな鉢の側面には「朝日漁業」の文字があります。縁の両側には紐で持ち手が着いており、これが漁港や船で使用するバケツだったことが分かります。もともとは魚を入れていたのでしょうか。このバケツが鉢植えになった経緯を妄想してみると、とても楽しい気分になりました。

 

くふう②:発泡スチロールの箱庭
さらに歩くと、民家の軒先に発泡スチロールの箱が2つ並んで置かれていました(写真2)。中を覗いてみると、一つは使っていない植木鉢の収納として使われ、もう一つは草が生い茂る箱庭となっていました。花が植えられているようでもなかったので、自然に生えてきたものだと考えられます。これだけ植物があれば、いずれこの箱の中でひとつの生態系が完成するかもしれませんね。もともとは港から魚を運ぶために使われていたものだったのかな、と思いを巡らせていました。

 

くふう③:ゴミ捨て場のネットと収納ケース
路上観察の終わりぎわに見つけたのが、ゴミ捨て場のネットとそれをしまうケースでした(写真3)。カラスがゴミを漁るのを防ぐために、ゴミの集積場にはしばしばネットが置かれています。その多くはプラスチック素材の細いものですが、この場所のものは太く、さまざまなサイズのものが繋ぎ直されていました。もしかするとこのネットは海で使われていたものではないか。これを見た瞬間にそう直感しました。このネットを収納するケースにも注目してみると、冷蔵倉庫会社の社名が記されています。これも漁港から冷蔵倉庫まで魚を入れていた箱なのでしょう。

 

路上観察をする中で、今回紹介したものの他にもたくさんの「くふう」を見つけることができました。今回は、その中から路上観察をする中で発見した「海に関する道具」が再利用されている様子を紹介しました。これも、港町である中之作ならではの「くふう」の一つなのだと思います。今後も「くふう」という言葉をきっかけに福島の海に関する情報を発信していきます!

海と日本プロジェクト in ふくしま レポーター 池本次朗

 

イベント詳細

イベント名海の道具から見る中之作【「くふう」を探す 第1回】
場所いわき市中之作地区
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