レポート
2025.11.15

佐藤真喜子のふたばスケッチ|vol.1 請戸漁港

皆さまこんにちは。福島県双葉郡大熊町に暮らす佐藤です。早いもので2025年も残り1か月半となりましたが、いかがお過ごしでしょうか。このウェブサイトでは、福島県浜通り地域の海に関するさまざまな情報をお伝えしてきましたが、わたしの暮らす双葉郡の海の模様もお伝えできたらと、今回、記事の執筆にチャレンジさせていただきました。どうぞよろしくお願いします。

今回、わたしがご紹介するのは浪江町の請戸漁港です。親潮と黒潮が交わる福島県沖の魚は「常磐もの」として皆さまに広く知られるようになりました。その中でも、ここ請戸で水揚げされたものを「請戸もの」と呼ぶのです。ヒラメ、シラス、スズキ、ホッキ貝などを中心に、約100種類もの魚介類が水揚げされます。2020年4月には、東日本大震災から9年ぶりに競りが再開されました。個人的には請戸のシラスがが大好きです。

私が取材に出かけた11月某日は少し風が強く肌寒いものの、晴天に恵まれすばらしい景色を見ることができました。冬の平日の昼間ということもあり、海を目的に訪れている人はわたしだけ。この景色を独り占めしているような、特別な気分になりました。

波の音と風の音に混じる、工事車両が行き交う音。この地が、いままさに再興の道を歩んでいることを実感します。おもわず自分が歩んできた震災後にも思いを馳せてしまいました。何かに行き詰まったときなどに訪れると、自然とやる気をいただけて、根拠はないけれど「がんばれる気がする」と心情に変化が生まれるかもしれません。

周辺に目を配ると、再建された苕野(くさの)神社が見えます。社殿は津波で流されてしまったものの、2022年から再建工事が進められ2024年に完成しています。

漁港の反対側では海岸防災林の造成が進められており、震災遺構である浪江町請戸小学校も目に映ります。見渡すと、南側には東京電力福島第一原子力発電所も確認できます。直線距離で7kmの位置関係です。この地域でなにが起きたのか。再建されたもの、遺し伝えるもの、さらには未来のためにいまどういった整備が進められているのかを体感することができる場所です。

さまざまなものに思いを馳せる、請戸の海

  1. 再建された苕野(くさの)神社。2024年には「安波祭」も開催された
  2. 漁港の反対側に造成されている海岸防災林。奥に見える山々は阿武隈高地
  3. 漁港近くには砂浜も。右手奥に見えるのは東京電力福島第一原子力発電所

震災や原発事故とは切っても切り離すことはできませんが、この地が歩んできた歴史に囚われることなく、とても美しい場所だと感じることができます。海はもちろん、空も広く、阿武隈高地も見えるこの地域。自然豊かとはまさにこういうことだと実感します。

福島県新地町からいわき市までの200km超を一本につなぎ歩く「ふくしま浜街道トレイル」のコースにもなっている請戸漁港。大きな工事車両が多いので歩く際には十分注意していただきつつ、海だけではなくぜひとも周辺も散策しながら現地の「いま」を体感してほしい場所です。

毎年1月2日には、海上の安全と豊漁を祈願して「請戸漁港出初式」が催されます。皆さま、2026年の初日の出を拝む場所は「請戸漁港」でいかがでしょうか。海から照らされる朝日は一見の価値ありです。実り豊かな年になるよう、ぜひ出初式もあわせてご参加ください。漁港から1.2kmほどの場所にある柴栄水産でお土産を購入することも忘れずに!

レポーター紹介

佐藤真喜子

1997年生まれ。福島県双葉郡大熊町出身在住。桜美林大学芸術文化学群演劇専修卒業。2011年の東日本大震災で被災。東京電力福島第一原子力発電所事故の影響で避難生活を経験。興味のあった演劇を学ぶために大学へ進学したものの、2020年、コロナ禍の影響により帰郷を決意。現在は大熊町にてゆるゆる生活をしている。

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