レポート
2024.06.27

梅雨の時期こそ波立海岸へ

 

みなさん、こんにちは! 海と日本プロジェクトinふくしま、レポーターの染矢です。

 

福島県もいよいよ梅雨入りしました! 曇りや雨ばかりで心もなんだかどんよりとした気持ちになりますよね。そんな憂鬱な気分を振り払ってくれるのが梅雨の風物詩、アジサイ。青や紫などのカラフルな色に、丸みを帯びた柔らかで華やかな姿が見る人の心に安らぎを与えてくれます。今回は、今まさに見頃を迎えているアジサイの名所、波立海岸を紹介します。

 

曇天だからこそ美しい

  1. 木々が生い茂る山にもアジサイが咲いている
  2. この時期限定でアジアイの御朱印も用意されている
  3. 境内にはヘビがうねっているような大木が

取材したこの日は、曇り空。今にも雨が降り出しそうな絶好のアジサイ日和りです! 快晴の日には青々とまぶしく輝く海も、曇天と同じような色になって霞んでいます。

 

今回やってきたのは、いわき市北部の久之浜にある波立海岸。その目の前に、アジサイの名所・波立薬師が建っています。別名アジサイ寺と呼ばれるこのお寺は、大同元年( 806)、徳一大師が海上鎮護を念じ、海上から出現したと言われている薬師如来を安置したことが始まりとされています。

 

波立海岸の駐車場に車を停めると、早速アジサイの姿がちらほら。駐車場の脇に参道があり、道の両脇に青、紫、ピンク、白など色とりどりのアジサイが見事に咲いています。大人の手の平よりも大きなものや、手毬のような丸いもの、細長い円形など、大きさや形もさまざまで、ずっと見ていても飽きません。

 

お寺のある海岸丘陵の一帯は、波立山といわれており、クロマツ、シイ、タブなどの草木が生い茂り、鮮やかな緑がアジサイの華やかさを引き立たせるいい役目を果たしてくれています。ザッ、ザッと参道に敷かれた砂利を踏みしめる音すらも、BGMのように心地よく聞こえます。砂利に足をとられ歩く速度がいつもより遅くなり、アジサイ鑑賞の時間も自然とゆっくりに。

 

じっと見ているうちに、数年前初めてアジサイの切り花を購入した時のことを思い出しました。花屋の店員さんが「アジサイはとにかく水が命。たっぷり水を吸い込ませるために茎に細工をしてあげてね」と教えてもらいました。当時は気にもとめず、むしろ他の切り花に比べて手間がかかって面倒だな…と思っていました。

 

梅雨空で気持ちよさそうに花を咲かせるアジサイを目の前にした今、その時の言葉をふと思い出し、「そうか、雨がたくさん降る梅雨はアジサイにとって最高の時期なのか!!」と突然腑に落ちたのです。アジサイは英語で「Hydrangea」。ギリシア語の「水」と「容器」が語源になっています。名前からもわかるように、水をたっぷり吸収することができる梅雨がベストシーズンというわけです。アジサイがもたらした思わぬアハ体験でした。

 

海の荒さにたじろぐ人と喜ぶ人

  1. この日は干潮。満潮になると、桟橋まで波が到達するとか
  2. 「港に打ち付ける波を横から見るのが最高」と語ってくれた
  3. 弁天島付近は渦を巻いた波がそこらじゅうに起きていた

境内を通り山門をくぐると、道路を挟んだ向かいに波立海岸が広がります。海を目指して歩道橋を渡ると、波立海岸のシンボル、弁天島と朱色の桟橋が! かつては陸続きだったようですが、一説によると応永17(1410)年に発生した地震により寸断され、奇岩が海中に突き出た姿になったといわれています。

 

海岸と弁天島を結ぶ橋を渡ると、歩道橋からは見えなかった断崖が突如として出現。巨像恐怖症の私にとっては、恐怖のサプライズ! さらに、そこに荒々しい波がザバーンと勢いよく打ち付けられ恐怖が増してしまったわけですが、せっかく来たのにここで引き下がるわけにはいきません。

 

意を決して、足早に橋を渡り弁天島に上陸。砂岩層から成るこの島は、波や雨風によって浸食され島のあちこちに洞穴や奇岩が見られます。島の上にある小さな洞穴に弁財天が祀られており、デコボコとした岩の上に赤い鳥居が建っています。

 

島には先ほど橋の上で感じた波の勢いをさらに倍増させた激しい波が、島を飲み込む勢いで迫ってきます。「や、やばい…早く戻らないと海に襲われる」と命の危機を感じた私は屁っ放り腰になって、そそくさと退散しました。

 

歩道橋に戻り、「遠くから見ているぐらいが私にはちょうどいいなぁ」とホッと胸を撫で下ろしていると、私と同じように歩道橋から海を眺めているおじいさんに「弁天島はどうでしたか」と話しかけられました。「波の勢いが激しすぎて、怖くてすぐに戻ってきちゃいました」と言うと、「今日はまだ穏やかなほうだよ」と教えてくれました。

 

おじいさんはいわき市内の街中に住んでおり、海を眺めるのが好きでいわき市内の海岸や港をよく訪れるのだそう。どこの海が好きなのか尋ねると、「僕は、葛飾北斎が描いているような荒々しい波を見るのが好きでね。沼ノ内港が絶好のスポットなんだよ。見ていると、スカッと晴れやかな気持ちになるんだ」とうれしそうに話してくれました。

 

荒々しい海を見ると恐怖や命の危機を感じる私にとってその意見は衝撃的なものでしたが、この言葉が海の魅力について改めて考えるいいきっかけになりました。波がほとんどない穏やかな時もあれば、牙をむいたように白波が立つほど荒れ狂う時もある。海を見るたびに色や波の様子が変わります。一度たりとも同じ姿はありません。そんな多彩な姿が海の最大の魅力だと再認識させられました。

 

快晴の日に行きがちな海ですが、曇天や雨が似合うアジサイに合わせて足を運んでみるのも、新鮮ですね。もしかすると、曇天や雨の日しか見られない新たな海の魅力が発見できるかもしれません! ぜひ梅雨時期だけの景色を見に波立海岸を訪れてみてください。

 

イベント詳細

イベント名波立海岸のアジサイ
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