みなさんこんにちは、海と日本プロジェクト in ふくしま事務局レポーターの森亮太です。
美しい海を未来に残すためには、海洋汚染のことをちゃんと知って、私たち一人ひとりに何ができるかを考え、行動していく必要があります。そのためにまず必要なのが海のごみを知ること。ということでスタートした海ごみレポートは今回が第2回。海ごみの中でも一番身近な漂着ごみから、海ごみを紐といていきます。
海ごみレポート 第2回
漂着ごみからみる、海ごみの正体
海ごみの中でも、一番身近であり、目にすることができるのが「漂着ごみ」。実は、海ごみの全体の5%の割合しか占めていない漂着ごみですが、どのようなものが漂着しているか調べてみると、海ごみの実態が分かってきます。まず、日本の沿岸部にはどのようなごみが漂着しているのでしょうか。次のグラフを見てください。
このグラフを見ると、漂着ごみの中でも漁具、発泡スチロール、ペットボトルなどのプラスチックが3分の2を占めていることが分かります。続いて、自然物や木材。また、太平洋側と比べると日本海側の方が漂着ごみが多いことが分かりますね。ここでも、海ごみの中でプラスチックが大きな割合を占め、問題となっていることが分かります。
漂着ごみの正体が分かったところで、気になるのはこれらのゴミはどこから来たか。漂着ごみの中でも、ペットボトルについてラベルからどの国のものか調べることができます。次のグラフを見ると、日本海側、太平洋側、地域によって大きな違いが見られます。
このグラフを見ると、中国や韓国から近い九州の沿岸部では、中国や韓国から来たゴミが多いことが分かります。一方で、大陸から離れた沿岸部や太平洋側は、日本のゴミが多く見られることが分かりますね。なぜこのような結果が出るのか、海流や季節風から読み解いていきましょう。
日本周辺の主な海流として、黒潮や親潮、対馬海流などがあります。これを見ると、中国、台湾、韓国など大陸からのごみが日本に流れつきやすいことが分かりますね。また、日本から出たごみも、北東方向に流れていくことが分かります。ちなみに、私たちの暮らす福島県の沿岸部は、親潮と黒潮がぶつかる潮目の海なので、南からくる漂着ごみも北からくる漂着ごみもあります。
また、海流の影響だけでなく、季節風の影響もあります。夏には南東から、冬には北西からの季節風が吹くので、夏には太平洋側への漂着ゴミが増え、冬には日本海側の漂着ゴミが増えます。
いくつかポイントをまとめましょう。
1つめが、海ごみの大半が「プラスチックゴミ」で占められていること。内訳をみると、漁具や発泡スチロールなど漁業関係者のごみも多いのですが、確実に言えるのは、ペットボトルや食器・容器など、消費者としてのごみがかなり多いということです。漁業者だけの問題ではありません。私たちの意識や心がけも重要だということです。
2つ目に、海はつながっているということ。何を当たり前のことを、と言われるかもしれませんが、海流や季節風の影響で日本には多くの海外由来のごみが漂着しています。かといって日本のゴミがないわけではありません。先ほどと同じ言い方をすると、中国や韓国だけの問題ではないですし、日本だけの問題でもないのです。国際的な枠組みの策定や活動が求められます。
3つ目に、漂着ゴミは海ごみの中で5%しか占めていないということ。目に見える漂着ごみの何十倍もの量のごみが海の中を漂っていることを想像する必要があります。重要なのは、この想像力です!
地球上に生きる一人ひとりが当事者。海ごみの問題を少しでもよくしていくためには、一人ひとりが意識を変えることが重要です。ごみを捨てない、海洋投棄をしない、エコバックやエコボトルを使いそもそものプラスチックごみを減らす、など。あなた一人で解決できる問題ではありませんが、まずは自分から意識を変えて生活してみること、それが世界規模の海ごみの問題を解決する小さな一歩だと思います。
(海と日本プロジェクトinふくしまレポーター:森亮太)
イベント名 | 漂着ごみから見る、海ごみの正体 |