レポート
2019.07.22

【海ごみレポート3】漂流ゴミと太平洋ゴミベルト

 

みなさんこんにちは、海と日本プロジェクト in ふくしま事務局レポーターの森亮太です。

美しい海を未来に残すためには、海洋汚染のことをちゃんと知って、私たち一人ひとりに何ができるかを考え、行動していく必要があります。そのためにまず必要なのが海のごみを知ること。ということでスタートした海ごみレポートは今回が第3回。前回は海ごみの中でも漂着ゴミを取り上げましたが、今回は海に漂う、普段の生活で目にすることのない漂流ゴミについて取り上げます。

 

海ごみレポート 第3回
漂流ゴミと太平洋ゴミベルト

海ごみの中でも、一番身近であり、目にすることができるのが「漂着ごみ」ですが、それは割合にすると5%ほどでしかありません。それ以外の95%もの海ごみは海の中を漂っているということになります。一旦私たちの住む陸地を離れた海ごみはどこに行くのでしょうか。海流によって、海ごみが集まりやすい海域が世界中にいくつかあります。

その一つが、「太平洋ゴミベルト」。遠く離れた太平洋の真ん中で、多種多様のプラスチックの破片がひらひらと浮き、「薄いスープ」をつくっている様子から「プラスチックスープ」とも呼ばれています。北アメリカ大陸とハワイの間に位置する太平洋ゴミベルトの大きさは、なんと160万平方キロメートル。

太平洋ゴミベルトの位置

日本の陸地の大きさが約38万平方キロメートルであることと比較すると、そのとてつもない大きさがわかると思います。日本の陸地面積の約5倍にも当たる海洋に海ごみが集まっているのです。

 

プラスチックごみ

 

その海ごみを調査した研究者によると、回収したごみの99.9パーセントがプラスチックごみということで、この結果から、太平洋ゴミベルトには少なくとも1兆8000億個、7万9000トンのプラスチックごみがあると推計しました。そしてそのうち1兆7000億個が、0.05〜0.5センチメートルほどのマイクロプラスチックだと見られています。

さらに厄介なのが、46%ほどが漁業由来の廃棄された網が占めているとのこと。廃棄された漁業用の網は「ゴーストネット」とも呼ばれ、海洋の生物に絡みつき死をもたらしたり、海洋中のプラスチックごみをより小さな破片にしています。

なぜこのようなことになるのかこの連載をお読みの方はお分かりだと思いますが、プラスチックごみが海洋上に放出されるとなかなか分解されません。第1回の連載にも書いた通り、比較的分解されやすいビニール製のゴミ袋でも約20年、ペットボトルに至っては400年、釣り糸などテグスは600年と、一度海洋に放出されてしまうと半永久的に残ってしまうのです。

しかも、一度海洋に放出されたプラスチックごみは、波の力や紫外線によってどんどん細かくなっていきます。細かくなるといってもそれがプラスチックであることには変わりません。マイクロプラスチックです。さらに、細かくなったプラスチックごみ、マイクロプラスチックは海の中に沈んでいきます。海洋上に発見できるプラスチックごみはほんの一部で、大半のプラスチックごみは海の底に沈んでいると考えられています。

 

海を漂うプラスチックごみ

 

いまこの時に人間が出したプラスチックごみは、人間が生きる時間の何倍以上もの間漂うことになります。プラスチックごみの問題をどう解決するのかは、500年後、私たちの子孫にどんな環境を残したいか考えることでもあります。プラスチックを使う量を減らす、ごみを出さない、そんな身近な一つひとつの選択が未来へとつながっていきます。

ごみが一度海洋上に出てしまったらほぼ回収は不可能になります。そういった意味でも、海辺に流れ着いた海ごみを拾うことは全体のプラスチックごみを考えると抜本的な解決にはなりませんが、海ごみを減らす有効な手段であると言えるでしょう。次回は、海ごみの大半を占める海洋プラスチックごみの成れの果て、マイクロプラスチックについて取り上げます。ぜひご覧ください。

 

参考資料・画像出典
BUSINESS INSIDER JAPAN「プラスチックだらけ! 世界中のごみが流れ着く「太平洋ゴミベルト」は本当にひどかった」
International Pellet Watch Japan「プラスチックの時代からの脱却を」
NATIONAL GEOGRAPHIC 太平洋ゴミベルト、46%が漁網、規模は最大16倍に

 

イベント詳細

イベント名漂流ゴミと太平洋ゴミベルト
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