レポート
2020.04.20

【海ごみレポート9】福島県沿岸にも流れ着く海ごみ

 

みなさんこんにちは、海と日本プロジェクト in ふくしま事務局レポーターの久保田貴大です。

美しい海を未来に残すためには、海洋汚染のことをちゃんと知って、私たち一人ひとりに何ができるかを考え、行動していく必要があります。海ごみレポートは今回が第9回。日頃生活する中で私たちがプラスチック製品の仕様を減らすことが最も効果的なアクションであることはこれまでもお伝えしてきました。

しかし、「海ごみ」と言われても、どのくらいの量が流れ着いているのか、私たちにとってどのような影響があるのかなど普段の生活からは想像しづらい面もあります。そんな中、去る3月26日に環境省が各港湾の海の漂着ごみの調査結果を公表。その中にはいわき市小名浜港の調査結果も。福島の海にはどのくらいの海ごみが流れ着いているのでしょうか?

 

海ごみレポート第9回

福島県沿岸にはどのくらいの海ごみが漂着しているの?

3月26日、環境省は平成30年度の海洋ごみ調査の結果を発表しました。今回の調査から福島県いわき市の小名浜港も調査対象に含まれ、小名浜も含めて全国10地点で調査が行われました。その結果は、小名浜の海岸50mのエリアに漂着した人工物の海ごみは容積で530L、重量では32kgに及ぶ、というものでした。

 

(出典:https://www.env.go.jp/press/files/jp/113618.pdf)

 

小名浜港のデータが他の地点と比べて突出しているという訳ではありませんが、無視できない量の海ごみが福島県沿岸にも流れついていることがわかります。

さらに小名浜に流れ着いたごみは日本語表記のごみが多くを占め、外国語表記のごみは1割以下というデータも出ています。

 

(出典:同上)

 

つまり、日本国内で消費されたプラスチック製品が、直接私たちが暮らす海沿いの地域に流れ着いていると言えます。プラスチックごみのリサイクル率が高いと言われている日本でも、多くのプラごみが海へと流れ、日本国内の海へ流れついているのです。

先週末、いわき市内の久之浜漁港に訪れる機会がありましたが、潮干狩りをしている家族連れのすぐそばにかなりの量の海ごみが流れ着いている姿がありました。

 

 

上のような調査データと合わせてこうした姿を実際に見ると、海ごみの問題は決して遠く離れた地域のことではなく、私たちが直接関与しているということがご理解いただけたるかと思います。

 

身近な海を守るために私たちができることは?

福島県をはじめ、島国である日本の沿岸には美しい海があり、その恩恵を受けて私たちは生活しています。こうした海を守っていくために、私たちが日々の生活の中でできることとはなんでしょうか。まずは、目の前を見渡して自分たちがどれほどのプラスチック製品に囲まれているか意識することから始めてみるのはいかがでしょう。今私が作業している机の上を見ても、ペットボトルや割りばしの包装、ポケットティッシュの袋などちょっと見まわしただけでも多くのプラスチック製品がありました。

 

(出典:https://www.statista.com/chart/17564/annual-per-capita-production-of-plastic-by-region/?fbclid=IwAR1Izt6jODQMuzqYlaIR-dnn1FKFBcYzwrm1F8xAhJtmm_PCnqtFQlAiy2I)

データからも私たちの生活が多くのプラスチック製品に囲まれていることがわかります。日本の人口当たり年間プラスチック製品生産量は106kgと、北米、欧州に続いて多くなっています。他の先進諸国と同様、多くのプラスチック製品に依存し、結果として海ごみによる海洋汚染に大きく加担しているのです。

ですが、こうした事実も私たちがプラごみの削減を意識することで少しずつ変えることができます。先ほど見つけた身の回りのプラスチック製品のうち、どれだけのものが削減できるのかを考えてみましょう。例えばペットボトルはマイボトルに替えることができるし、割りばしはお弁当用の箸を持ち歩くことでその利用を削減できます。このレポートでも何度もお伝えしてきましたが、プラスチック製品はReduce(減らす)、Reuse(使い続ける)、Recycle(再生する)の3Rのうち、Reduce、つまり利用を減らすことが最もごみの削減に有効です。(参考:【海ごみレポート6】リサイクルよりも大切なこと)

わたしたち一人一人が少しでもプラスチック製品の使用を控え、他の製品で代替できないかを考え、実行する。そのことが日本全体、ひいては地球全体の海洋ごみ削減への最大級の貢献となるのです。

 

次回は最終回。すでに世界各地で始まっている海ごみ削減の動きを紹介したいと思います。

 

参考資料・画像出典

1からわかる!プラスチックごみ問題(1)|NHK就活応援ニュースゼミ 【NHKニュース】

1からわかる!プラスチックごみ問題(2)|NHK就活応援ニュースゼミ 【NHKニュース】

今、なぜプラスチック問題が注目されているのか | 三菱総合研究所(MRI)

Developed Nations Produce the Most Plastic

 

 

イベント詳細

イベント名福島県沿岸にも流れ着く海ごみ
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