レポート
2025.08.30

奥深きカツオの世界 調理して食べるなら「焼き浸し」か「揚げ浸し」か

みなさんこんにちは。海と日本プロジェクト in ふくしま、リポーターの小松です。今日は、福島県沿岸を代表する食材「カツオ」について紹介していきます。カツオというと、「初ガツオ」として流通し始める初夏から、「戻りガツオ」が楽しめる初秋の時期まで、主役として食卓を彩ってくれる食材ですよね。大好きだという方も、きっと多いはず。

私が住むいわき市では、特に小名浜港や中之作漁港が水揚げ拠点になっていることから、大変親しみのある魚として知られていて、刺身はもちろんのこと、焼いて食べたり、揚げて食べたり、さまざまな家庭料理が存在します。特に「揚げ浸し」と「焼き浸し」は有名で、好みも分かれることから、焼き浸し派か揚げ浸し派かで「論争」が起きることも。

揚げ浸しは、カツオの切り身(多くの場合、余った刺身)に衣をつけて揚げ、それを麺つゆや醤油などのタレにつけて食べる料理。タレに酢を多めに入れて「南蛮漬け」として食べる方も多く、また、食べるときに揚げ出し豆腐を付け合わせしたり、夏野菜を一緒に揚げて食べたりと、各家庭で味付け、調理法が異なります。

焼き浸しは(相馬あたりでは「焼きつけ」と言ったりします)、切り身を焼いて醤油などに漬けたもの。カツオは焼くと硬くなるため食感は硬いのですが、噛むほどにうまみが感じられ、しかも冷めてもおいしいので、弁当のおかずや酒のおつまみなんかにもよく出されます。カツオは、そもそも「カツオ節」になるほど旨みが強い魚ですから、焼き浸しがおいしくないわけがありません。

ふるさとの味に、舌鼓を打つ

  1. 筆者の家の場合は、たっぷりの大根おろしを入れて揚げ浸しを食べます
  2. 焼いた切り身を醤油だれに漬けるだけ。シンプルでうまい焼き浸し
  3. 刺身だけでなくさまざまな食べ方があるのがカツオのいいところです

カツオは、現在でこそ「一人前の刺身」の状態で販売されるのが当たり前ですが、昔は1尾のまま売られていたことも多く、またいわきの沿岸では、カツオを誰かにお裾分けしてもらったりすることも多く、「1回では食べきれない量」を抱えることが珍しくありませんでした。

初日は刺身で食べる。その後も無駄にならないように、つまり「保存が効くように」醤油でつけ、加熱調理するという食べ方が普及していったのです。これだけ家庭料理があるということは、それだけ昔はカツオをいっぱい食べていた、安価に買えた、それだけ豊かな時代だったということなのかもしれません。

焼き浸しや揚げ浸しといった料理、大変おいしいのですが、いわき市内だと「家庭料理」の扱いで、他の人たちに提供するものとは考えられておらず、飲食店などのメニューにもなっていません(お通しなどで出されることは多い)。食べたい場合は、いわきに知り合いをつくり、調理してもらうというのが早そうです。

カツオというと刺身! という方が多いと思います。ぜひ、刺身が余ったら(余らないという方が多いかもしれませんが)、揚げ浸しと焼き浸しにチャレンジしてみてください。ますますカツオという魚が好きになるはずです!

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