皆さんこんにちは。海と日本プロジェクト in ふくしま、専任事務局員の小松です。
海と日本プロジェクト in ふくしまが始まって、今月で7年8ヶ月が経過しました。これまで数多くの取り組みやアクション、そしてその担い手を紹介することができました。すでに600本以上の記事が、このサイトにアーカイブされています。ご協力いただきましたみなさんに、改めて御礼申し上げたいと思います。
プロジェクトがスタートしたころは、沿岸部の復興がまだまだ途中の段階であり、海をテーマにしたイベントなども今ほどは開催されておらず、復興工事が済んだいわき市内各地での取り組みを取材することが多かったように記憶しています。その後、相馬・南相馬エリアでの取材が増え、この数年でようやく双葉郡の取り組みを紹介できるようになりました。そのプロセスに、福島の海の復興の歩みが刻まれているようにも感じます。
次の3月11日で、2011年に発生した東日本大震災から13年となります。普段は私たちに多くの恵みを与えてくれる海。しかし3月ばかりは、ひとたび牙を剥けば、多くの人命が失われてしまうことになるという恐ろしさ、そこで奪われた命、そして、海がもたらす災害について思いを馳せずにいられません。
甚大な津波被害を受けた各地の復興は進み、新しいまちでの暮らしが始まっています。原発事故の被害を受け、住民たちが避難を余儀なくされた双葉郡も徐々に人が戻り、震災前のような賑わいが町にもどってきましたが、福島県のデータによれば、いまだ2万6千人もの人が避難生活を送っており、復興はまだまだ道なかばです。
原発事故の影響も続いています。事故を起こした原発の後処理、「廃炉」の道筋はいまだはっきりと描くことができず、廃棄物や汚染残土の処理などについても結論が出ていません。漁業への影響も続いており、福島県全体の魚の水揚げ量は、震災前の2割ほどしか回復しておらず、その状態で固定してしまっています。担い手の高齢化も、より深刻になっています。
一方、このサイトで紹介してきたように、新たな担い手たちが地域の人たちと力を合わせ、これまでにない新しい視点で商品やサービスを届けています。海沿いのサイクリングロードには人が集うようになっていますし、沿岸の清掃活動を行う団体は震災前よりも確実に増えています。まちづくり、漁業、観光、起業や中高生の学びなど、さまざまな分野で未来の種が撒かれてきた、そんな13年でもありました。
海と日本プロジェクト in ふくしまも、地域の学校や事業所とコラボレーションし、さまざまな取り組みを続けています。商品やサービスの開発、情報発信などばかりでなく、主体的に自分たちが「当事者」となってアクションを起こす。そんな取り組みも進めてきました。特に昨年は、地域の事業者や生産者と連携し、地域の子どもたちを対象とした「学びのプログラム」に力を入れてきました。
そこで大事にしてきたのは、今ある課題を学びの力に変えるということです。地域の課題は何も震災が作り出したものばかりではありません。なぜそのような被害が生まれたのか、そこで問われているのかなんなのか、と学びの対象にすることで、プラスの力に転じることができるかもしれません。
震災が起きて13年前。ということは、県内のすべての小学生が震災を直接知らない世代になっているということです。ですが、福島の海を学ぼうという子どもたちを見ていると、「震災を学ぼう」とこちらが言わなくとも、福島の海の「今」を学ぶことを通じて、震災や原発事故についてそれぞれの距離感で接する機会になっているということを感じます。
学ぶことは忘れずにいることにつながる。
学ぶことは地域をおもしろがることにつながる。
このことを、子どもたちの学ぶ姿勢から強く感じますし、大人の私たちこそ学ばなければいけない。フレッシュな気持ちで、わからなかったことが「わかった!」という喜びを大切にしながら「14年目」も学び続けたいと思います。
海と日本、海とふくしま、そして、海と私たちのよりよい未来を目指して。引き続き、みなさんのご協力とご支援をお願いいたします!
イベント名 | 海と日本プロジェクト in ふくしま |