レポート
2024.09.04

浦島太郎は四倉に住んでいた? 亀と縁が深い四倉町を探索

みなさん、こんにちは!海と日本プロジェクトinふくしまレポーターの清藤です。

夏休みが終わり、いよいよ学校がスタートしましたね。しかし、高専生の私は10月まで夏休みです。夏休みも折り返し地点となりましたが、やりたいことはまだ半分もできていません。最高の夏休みにするためにも、大好きな四倉町ならではの海の魅力をみなさんにお届けします!

突然ですが、みなさん! 四倉町が亀の町と呼ばれていることはご存じでしょうか? なぜ、亀なのか。疑問に思う方もいるかもしれませんが、ここ、四倉町はウミガメの産卵場所の北限という説があり、また、浦島太郎伝説も残る亀とゆかりがある町なのです。今回は、そんな亀の町、四倉の海にまつわる昔話をご紹介します!

 

亀の町の面影を探しに

  1. 私が小さい頃からある手書きの地図。長年大事にされています
  2. 椅子が六角形。これも亀の甲羅をイメージしたのか気になります
  3. 冬の朝の四ツ倉駅。私の一番のお気に入りです

天気が良く、お散歩日和だったので、まずは、四ツ倉駅に向かいます。この駅は、数年前に改装工事されました。かつては、「ようこそ 亀の町 よつくらへ」と書かれた石碑とかわいらしい亀の石像がありましたが、残念ながら今はありません。その代わり、駅のホームにある椅子の側面に亀の甲羅を表した亀甲型のレリーフがあることを新しく発見できました! 

せっかく、四ツ倉駅に来たので、周辺を散策します。駅の連絡通路が新しくなり、以前は階段の上り下りで辛かったですが、なんとエレベーター付きに! 駅の入口が反対側にもでき、移動がスムーズで快適です。階段最上段からは遮るものがなく駅周辺の景色を見れて気分がいいです。私は、冬の朝焼けをそこから見るのが一番お気に入りです。

階段を降り、駅の入口に戻ります。亀の石像があった場所をうろうろしていると、四倉町の地図を発見。この地図は、『株式会社日広社』が作成したもので、一文字一文字丁寧に筆で書かれています。四倉町にある商店や飲食店が細かく地元の方ならではの情報が記載されていて、四倉のことが大好きな方なんだなと思い嬉しくなりました。

私が小さいころからあるヤシの木もどきのような木も変わらず顕在。この木があると駅から海まで距離があっても東北のハワイらしさがでます。

帰る間際、じゃんがら念仏の石碑が目に入り、読んでみることに。じゃんがら念仏とは、お盆期間中に、かねと太鼓を鳴らしながら念仏を唱え、新盆の家をまわるいわきの伝統的な行事です。

石碑によると、四倉町出身の名僧、裕天上人が故郷の信仰心が盛んに、そして、娯楽になるようにとじゃんがら念仏を広めたとのこと。四倉出身の方が始めたということを初めて知り、驚きました。

改装された四ツ倉駅は四倉町の古き良き歴史を残しつつ、町民が利用しやすい素敵な場所でした。

 

想像力を育てる海

  1. 東日本大震災の復興活動について書かれていました
  2. 浦島太郎の屋敷跡に建てられた神社。どんな生活をしていたか気になります
  3. 凛々しい狛犬像。お参りするとき少し緊張しました

四ツ倉駅を後にし、四倉町下仁井田にある諏訪神社に向かいます。神社の周りは木々で覆われており、Googleマップのナビを使っても少し迷いました。ここは、なんと浦島太郎伝説が残る神社です! この神社が鎮座するところは浦島太郎の屋敷跡と言われており、浦島太郎の誕生の地と昔から伝えられています。

浦島太郎の話は小さい頃に耳にしたことがあると思いますが、改めて、夏井芳徳さん編著の「いわき民話散歩」を参考に、浦島太郎伝説についておさらいしましょう!

浦島太郎が浦人にとらえられた亀を助け、後日、釣りをしに沖に出ると、亀に乗った乙姫様が現れ、竜宮に招待されます。竜宮はたとえようのないくらい美しい金の城で、亀を助けた恩人として浦島はもてなされます。あまりにも竜宮が面白く、浦島は帰ることも忘れて、2,3年と思ったのが、300年余りの年月が経っていました。

故郷が恋しくなり、浦島は亀に故郷まで送ってもらうと、家は朽ち果て跡形もなくなっていました。心細くなった浦島は、開けてはならないと言われた玉手箱を開けてしまい、見る見るうちに老い果てました。

一方、御伽草子の浦島太郎の物語は、亀が女に化け、その亀を浦島が妻として娶る。さらに、玉手箱を開けた後、浦島太郎はおじいさんではなく、鶴になります。同じ話でも違いがあるとは知りませんでした。

どちらにせよ、浦島太郎の最後は少し悲しい話ですが、乙姫や竜宮の存在はとてもロマンが溢れ、一度は竜宮に行ってみたくなります。

そんな伝説を知ったうえで、境内を散策してみます。境内には小さな手水舎、二体の立派な狛犬像、復興創世の石碑がありました。防犯対策なのかちょっと変わったお賽銭の仕方。賽銭箱が拝殿の中にあり、扉にある丸い穴からお賽銭を投げ入れます。扉と賽銭箱に隙間があり、外さないようにするのが少し難しかったです。

今回の亀の町、四倉散策は「浦島太郎はここでどんな生活をしていたのかな」「今よりも海が近かったのかな」いろいろ想像が膨らみ、面白かったです。

海を舞台にした物語を読み、その場所に行く。そうすることで、物語の解像度があがるだけでなく、物語に綴られた海を追体験できます。

海の中にある竜宮はどんな場所だったのか、乙姫様はどんな人なのか、普段、何気なく見ている海ですが、そういった昔話を知ったうえで行くと想像が膨らみ、いつもとは違った楽しみ方が見えてきます。

物語・歴史から気づく海の魅力。想像だけでどんな場所でも楽しめる海ってすごいなと思った一日でした。

 

参考文献
夏井芳徳『いわき民話散歩』(2014)

イベント詳細

イベント名四倉散策

レポーター紹介

清藤杏加(せいとう・きょうか)

福島工業高等専門学校ビジネスコミュニケーション学専攻に在学中。出身はいわき市四倉町。魚は見るのも食べるのも大好き。四倉を中心に福島県の海の魅力を発信!

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