東日本大震災で巨大津波の被害を受けた福島県浜通り。地域の復興の「今」を見つめ、今一度、海に根付いた地域の文化や、その町に生きて来た人たちに思い馳せたい。海と日本 PROJECT in ふくしまでは、そんな思いから、被災地の今を紹介するシリーズ「海と復興」をお届けしています。
第17回目となる今回は、古き良き港町の雰囲気を今に残す、いわき市の中之作漁港を取り上げます。
中之作は、古くはカツオ漁で栄えた港町です。特有の狭い路地に、かつての船問屋の威厳を今に伝える古民家などが多く存在している、まさに古き良き港町です。現在も、カツオの水揚げではいわき市有数の港であり、旬の時期になると魚市場には賑わいが戻ってきます。
東日本大震災では、甚大な津波の被害を受けたものの、いわきの港町では幸運にも壊滅的な被害を免れた地区でもあります。ほかの被災地では、新しい町づくりが始まっていますが、中之作では、震災前の景色を取り戻しつつある、ということかもしれません。
中之作地区が壊滅的な津波被害を免れたのは、地形なども関係していますが、古い言い伝えを守り、埋め立て地などに住宅を造成しなかったから、と分析する方もいらっしゃいます。確かに、中之作にある神社は小高い丘の上に有り、周囲の住宅もまた、そのおかげで壊滅的な被害を免れました。古き良き風景のなかに、かつての日本人の考えた「防災」のヒミツが隠されているのかもしれません。
(専任事務局員・小松)
イベント名 | 中之作漁港 |
場所 | 福島県いわき市中之作 |