皆さん、こんにちは! 海と日本プロジェクト in ふくしまレポーターの小林です。
先日、移住して間もない私に郷土料理を振舞いたいと、地元の方がいわきの郷土料理、ポーポー焼きの料理教室を開いてくれました。ポーポー焼きとは、サンマをすり身にして、味噌、ネギ、生姜などをまぜて焼いた料理。漁師が船上で料理する際に、サンマの脂が炭火に落ちてポーポーと炎が出たのが由来とされています。
料理を教えてくれたのは、いわき市平出身の皆川亨智さん。料理が得意な皆川さんは、私が暮らすシェアハウスに、季節の地元食材を使った家庭料理をよく差し入れしてくださいます。いわきヘリテージツーリズムのガイドとしても活躍されていたこともあり、いわきの歴史や文化などさまざまな地元話を教えてくれる、師匠のような存在です。今回は、地元トークを交えながら、ポーポー焼きの作り方をレポートしていきます!
私が暮らすシェアハウスのキッチンで、クッキングスタート! まずは、頭と内臓を取り除いた魚をすり身状にしていきます。ポーポー焼きに使う魚はサンマが一般的ですが、なんと皆川さんはイワシを使います。学生時代お金がなく、安いイワシを使って見たところ、おいしくてハマったんだとか。
すると、早速「昔、小名浜ではよくイワシが道に落ちていて、それを拾って持ち帰る人がよくいたんだ」と驚きのエピソードが出てきました。小名浜港で水揚げされたイワシを積んだ軽トラックが、魚の加工場や工場に行く間にイワシを落としてしまうことがあったんだとか。「工場に着いた頃には、上の方に積んでいたイワシがなくなっている、なんてことがざらにあったんだ」と笑いながら話してくれました。
イワシが道に落ちている風景想像して驚愕しました。
次に、ネギと生姜、大葉をみじん切りにして、すり身状のイワシと混ぜます。野菜はどこで買ってきたのか尋ねると、「家の庭に勝手に生えていた」と再び、驚きの言葉が返ってきました! しかも、家庭菜園をしているわけでもないと言います。
最後に、ハンバーグより平べったい形に丸めた後、フライパンで焼き色がつくまで焼いたら完成!火が通りやすいように平べったい形にするのが皆川流なんだとか。
出来上がったポーポー焼きを、焼きおにぎりと、お味噌汁、なめろうと一緒にいただきました。なめろうは、先ほどポーポー焼きを焼く前の魚のたたきを、一部焼かずにとっておいたものです。
ポーポー焼きは、もともと船乗りたちが、なめろうの余りを焼いて食べたことが始まりなんだとか。驚いたことに、船のエンジンの熱で焼いていたそうです。
お待ちかねのポーポー焼きを実食味付けしないのが皆川さん流ということで、そのままパクリ!。ふっくら柔らかな口あたりに、薬味と生姜のさわやかな味が広がり、思わず顔がほころびます。
夢中になって食べていると、皆川さんが鷹の爪も添えて食べることを勧めてくれました。私はそのまま食べてもしょっぱいので断念しましたが、船乗りたちは鷹の爪と一緒に食べることもあるんだそう。体力勝負だから、しょっぱさや辛さといった刺激を求めるのだろうか、なんて想像を膨らませました。
ポーポー焼きが、「なぜいわきで食べられているのか」「どんなシチュエーションで食べられているのか」など歴史や慣例まで知りながら作れました。地元トークと絡めながら郷土料理を知ることで、以前一人で作ってみた時よりも何倍も美味しく食べられました!
郷土料理を前の世代から受け継いできた、皆川さんはまさに「生きる資料」!
これから郷土料理を味わうときは、その裏にあるストーリーにも注目してみたいと思います!
千葉県浦安市出身。2024年に福島県いわき市に移住。いわき市を中心に福島県の海の魅力を発信!