レポート
2023.05.15

Prevention Green Lab Vol.3「広野町で行われてきた防災緑地の取り組み」

 

みなさんこんにちは!
海と日本プロジェクト inふくしま、レポーターの前野です。

福島県浜通りの「防災緑地」について学び、これからの活用方法をみんなで探っていく「Prevention Green Lab」では、防災緑地についての学びのシェアや、緑地整備・運営に関わる人へのインタビュー、防災緑地活用の先進事例を取り上げ、よりよい活用を考えるきっかけを届けていきます。第2回からしばらく更新が滞っておりましたが、今年度も引き続きリサーチを続けていきます。第3回目の今回は、広野町の防災緑地がどのように活用されてきたのかをインタビューも交えてお伝えします。

 

福島ではじめて完成した防災緑地

  1. 現在のひろの防災緑地。クロマツが成長している様子がわかります
  2. ひろの防災緑地について詳細が書かれた看板
  3. 浅見川堤防から眺めた広野町の海岸堤防

広野町は福島県で一番早く防災緑地が整備された町です。東日本大震災の原発事故の影響で緊急時避難準備区域に指定されていましたが、2011年9月30日に解除、翌年2012年3月31日には、当時の町長・山田町長が独自に出していた避難指示も解除され、インフラの復旧が進みました。

県内外に避難していた地域住民の方が再び広野町で暮らしていくためには、インフラの早期復旧が必要。道路や建物と並行して、防災緑地の整備も進んだからこそ、一番はやくに防災緑地が完成したというわけです。

福島県の防災緑地は、新地町にある釣師浜地区の防災緑地以外の全ての防災緑地が、県が主体となって整備・管理が主行われてきました。地元住民の防災緑地の維持・管理のコストが減るというメリットもある一方、住民の防災緑地への関わる機会が減るというデメリットもあると考えます。なぜなら、防災緑地には、地域における「地域振興機能」を果たす役割が期待されているからです。

 

防災緑地の活用は、あくまで手段のひとつだった

  1. オーガニックコットンの収穫祭の様子。上列の一番左が磯辺さん
  2. 2016年に行われた、プレゼントツリー第1回森の交流イベント
  3. 矢印看板探しの様子。複数人でまちをめぐります

写真:広野わいわいプロジェクトホームページPresent Treeホームページ広野わいわいプロジェクトFacebookより

広野町では、住民の防災緑地への関わりしろをつくろうと、これまでいろんな取り組みが実施されてきました。町や住民が整備後の防災緑地を管理・運営している場所は、福島県内では現在は広野町だけです。取り組みや企画の中心となった団体のうち、今回はNPO法人広野わいわいプロジェクトの磯辺吉彦さん、青木裕介さんにお話を伺うことができました。

磯辺:NPO法人広野わいわいプロジェクトは、2016年4月に設立しました。ひろの防災緑地の建設にあたり、当時は任意団体「広野サスティナブルコミュニティ推進協議会」で植樹祭を行なっていました。継続した防災緑地の管理に加え、広野町でにぎわいづくりや地域交流に取り組むNPO法人をつくりたいという思いから、推進協議会に所属していたメンバーを中心に設立されたNPO法人です。

県が管理している防災緑地の一部を借りて、植樹を通じて森林再生と地域振興に取り組む「NPO法人環境リレーションズ研究所」と協働で行う「Present Tree ひろの」の森づくりなど、防災緑地を活用して地域内外の人が交流する機会を生み出してきました。

防災緑地近隣のオーガニックコットン栽培では、ボランティアで広野に訪れた方に日帰りのバスツアーを実施。プレゼントツリーでは、都市部に住む人に苗木の里親になってもらい、広野町に関わる関係人口を増やす取り組みを行なってきました。

青木:最近は、ふたば未来学園に通う生徒と一緒に広野町の津波避難経路をめぐるイベント「矢印看板探し」を開催しました。実際に歩いてみると、看板の数が意外に少ないことや、歩いてきた方角によって避難するルートが異なることなど、さまざまな発見がありました。

磯辺:震災から12年が経ちました。これまでの取り組みをどのようにこれからの若い世代に受け継いでいくか、地域の中で継続していくかを模索していきたいと思います。

広野町では当時、地域活動に取り組む団体がなかったといいます。広野わいわいプロジェクトがはじめた防災緑地の活用は、当時地域が抱えていた課題を解決する取り組みでもあったのだとお話を伺っていて感じました。防災緑地の活用が目的ではなく、あくまで一つの手段であったからこそ、現在も継続した取り組みが行われているのではないかと思いました。

第4回目の記事では、ひろの防災緑地、楢葉町の海岸防災林の様子をお伝えします。

海と日本プロジェクト in ふくしまレポーター:前野 

イベント詳細

イベント名Prevention Green Lab Vol.3
\ 記事をシェアしよう /
X LINE ニュースを共有

関連リンク

誰でも海ごみ清掃できる「拾い箱」がファミマ3店舗に設置
レポート
2024.11.15

誰でも海ごみ清掃できる「拾い箱」がファミマ3店舗に設置

この真実を知るとポーポー焼きが10倍美味しい!
レポート
2024.11.10

この真実を知るとポーポー焼きが10倍美味しい!

ページ内トップへ