みなさん、こんにちは! 海と日本プロジェクト in ふくしま、レポーターの染矢です。
海の街として知られているいわきですが、実は化石の宝庫でもあります。これまでフタバサウルス・スズキイ(フタバスズキリュウ)をはじめとする多くの古代生物の化石が発掘されてきました。今回は、市内でも特に化石が多く発掘される場所にある、いわき市アンモナイトセンターを訪れました。
やってきたのは、いわき市の北部にある大久町。昭和43(1968)年、この町を流れる大久川で、当時高校年生だった鈴木直さんがフタバサウルス・スズキイ(フタバスズキリュウ)の化石を発見した、いわきを代表する化石の町です。
海岸から離れた山深い道をドライブして、いわき市アンモナイトセンターに到着しました。
まず、目に飛び込んできたのは「かつてここは海だった」と書かれた入口の看板。目の前に広がっているのは、鬱蒼と生い茂る草木と山だけ。どんなに目を凝らしても海の姿は見えません。本当にここが海だったのかと半信半疑な気持ちを抱きつつ、館内へ。
入口で早速、海を泳いでいる巨大なアンモナイト像がお出迎え。ガラスケースには、巨大なアンモナイト化石が3点展示されています。このうちのひとつは、まさにこのいわき市アンモナイトセンターが立つ場所で発掘されたもの。直径約100cmもあり、あまりの大きさに圧倒されます!
そもそもアンモナイトはどんな生物なんだろうと頭にハテナを浮かべていると、ちょうどいいところに解説パネルを発見。見た目が似ていることからカタツムリの仲間と思われることが多いようですが、実はイカやタコなどと同じ頭足類の仲間なんだそう。
ほかにも、殻のなかに区切られた小部屋が存在する、ヘビのような姿のアンモナイトがいたなど、解説を読んでいるうちにそのおもしろさに引き込まれていきます。
アンモナイトですっかり化石の魅力にロックオンしたところで、メインの露頭観察ゾーンへ。
このいわき市アンモナイトセンターが立つ場所は、双葉層群足沢層大久川部層に位置しており、後期白亜紀のコニアシアン期の化石が産出されています。この施設は、約8900万年前の地層をそのまま建物で覆っており、このゾーンでは化石が掘り出されたままの状態を見ることができるのです。
地層の周りに設置された通路を歩きながら、いろんな角度から化石を観察。アンモナイトやサメの歯などの化石がいたるところにむき出しになっており、想像以上の多さに驚き!
はるか昔の海の姿が凝縮されているのを目の当たりにし、はじめてこの場所がかつて海だったことを実感しました。
地層を観察していると、ゾーンの一角に、ガラスケースに入った化石を発見! この場所で発掘された貴重な化石が並んでいます。
ここで注目したいのが、化石ひとつひとつに書かれたイチ押しコメント。初心者の人でも分かりやすく解説されています。このコメントを読むのにハマった私は、時間を忘れて端から端まですべての化石を見るのに没頭してしまいした。
化石のほかにも、白亜紀の海、地層のでき方、サメの進化などの解説パネルが掲示されています。なかでも私のおすすめは、アンモナイトの謎コーナー。「最初からぐるぐる巻いていたのか?」「何を食べていたのか?」など、いまだに解明されていない生態を紹介しています。
おもしろい謎の数々に、頭の中がすっかりアンモナイト一色になるほど、その不思議な生態にさらに魅了されました。
いわき市アンモナイトセンターのもうひとつのハイライトは、建物の隣にある地層で行う化石発掘体験。
この日は残念ながら改修工事のため発掘体験はできませんでしたが、毎週土・日曜に30人限定で行われており、二枚貝、サメの歯、アンモナイトなどの化石がよく発掘されるそうです。貴重な化石が見つかることもあるようなので、ぜひ皆さんもお宝を発掘してみてください!
建物を後にし、外へ出ると再び入口のあの看板を思い出しました。「目に前に海は見えないけれど、本当にこの場所に海があったんだよな…」と最初に抱いていた半信半疑な気持ちはもうすっかり消えていました。
今回は、地層や化石の視点から海を見ることで、謎に秘めたロマンある新たな海の一面を発見することができました。
埼玉県所沢市出身。2021年にいわき市へ移住。旅行ガイドブックの編集・ライターを経て、現在いわき市でフリーランスとして活動中。