レポート
2018.12.17

筑波大生現地調査レポ30 職人の目利きが光るさんけい魚店

 

今年、海と日本プロジェクト in ふくしまでは、福島の海の復興の現状や風評被害について現地調査を行う、筑波大学社会学類・五十嵐泰正ゼミとコラボ。学生目線で、そのリサーチ結果や感想をレポートしてもらう連載企画をスタートします。初めて福島の海を訪れる学生たち。福島の海は、彼らの目にどのように映るのか。これからの「海づくり」の参考にすべく、長期的に連載していきます。

 

筑波大生現地調査レポ vol.30

職人の目利きが光るさんけい魚店

 

みなさん、こんにちは!筑波大学3年の飯田祐希です。今回は「さかなのば」の会場ともなり、小名浜でおいしい魚を並べていると有名な「さんけい魚店」さんに、魚選びのこだわりと、魚をおいしくするための技術について、お話を聞きに行きました。

さんけい魚店とは…さんけい魚店は、小名浜港のすぐ近くにあり長い歴史を持つ老舗の魚屋さんです。スーパーなどで魚を買うことが多い人にとってはどこか懐かしさを感じさせるお店で、社長の松田義勝さんと、3代目店長で娘さんの幸子さんが切り盛りしています。店内には色とりどりの魚が並べられており、どれも市場で吟味して選んできた義勝さん自慢の一品です。

 

町の魚屋としてのさんけい魚店

いつも新鮮な魚が並べられているさんけい魚店ですが、取材に訪れた11月8日の朝に、小名浜に水揚げされたばかりのさんまが、すでに店先に並べられていました。さんまだけでなく、旬のヒラメや、キンメダイ、キンキ、カマス、アジ、サバなどたくさんの種類の魚を取り扱っています。(どれも大きくてびっくりしました!)

午前中にさんけい魚店さんに伺ったのですが、プロの料理人の方々が、代わるがわる魚を受け取りに来ていました。プロの目から見ても魅力的な魚を取り扱っているのですね。

また、一般のお客さんも多くいらっしゃっていました。お客さんの中には、義勝さんと話しながらどの魚を買うか決める方もいるそうです。お店に来たお客さんに、義勝さんが今日はどんな魚が欲しいのか、刺身、煮つけなどのどんな料理がしたいのかを聞いて、今日仕入れた魚の中で一番相性がいい魚を教えてくれます。このお客さんと義勝さんとのコミュニケーションがさんけい魚店の特徴です。

 

魚選びのこだわり

  1. お客さんの要望で三枚おろしやお刺身にもしてくれます
  2. 左上から時計回りに、ヒラメ、キンメダイ、ハナダイ、キンキ、アジ、伊勢海老、ナメタガレイ
  3. 同じく、サバ、ハナダイ、カマス、ヤナギムシガレイ、アジ

 

また義勝さんは、魚の仕入れのこだわりについても教えてくれました。さんけい魚店の目の前には大手スーパーが位置しており、ライバルになっていると思いましたがどうも違うよう。お客さんのニーズの違いで役割分担ができているそうです。スーパーは安定して多くの商品を仕入れるのが得意なので、全国から多種類の魚や加工品が置いています。

一方義勝さんは、さんけい魚店はおいしい魚が食べたい人がくるお店だと考えており、天候などの自然環境により安定することがない魚の水揚げや、市場の状況に合わせて、自信がある魚だけをお店に置いています。つまり、さんけい魚店に行けば、いつもその時においしい魚が置いてあるのです! 

そして、もう一つ魚選びでこだわっているのが、地物にこだわりすぎないということです。よくある観光センターなどの魚売り場では、地元でとれたものを強く推していますが、さんけい魚店では地魚だけをお店に置くようなことはしません。もちろん、いわきでは、ヒラメやメヒカリ、アナゴ、アンコウ、ヤナギガレイといったものがおいしいと有名ですが、プロの目から見ると、地元で揚がるその他の魚が全て、全国的に見て一番おいしいとは限りません。

例えば、アジは一般的に、外洋で取れる「黒アジ」と呼ばれるものはあまりおいしくないといわれています。小名浜は内湾が小さくすぐ外洋に出てしまうため、獲れるアジは全国的に見てそんなにおいしくないそうです。義勝さんが言うには、アジは、山口県の仙崎、大分県の佐賀関などでとれるアジが絶品だということです。他にも、カマスは静岡、キンキは北海道の羅臼で取れるものがおいしく、この日もそうした産地の魚たちが店頭に並んでいました。

このように、地元のおいしい魚にくわえて、全国の一番おいしい産地から魚を取りよせているので、さんけい魚店にある魚はどれも美味しいのです。

 

美味しい魚のための技術

  1. 二日間寝かしたヒラメ。程よい歯ざわりと凝縮されたうまみが最高
  2. ポーポー焼きなどの加工品も売っています
  3. ちょうどいい味付けのお惣菜もあります

 

義勝さんから魚が一番おいしく食べられるように下準備で手間をかけていることを教えていただきました。義勝さんいわく、新鮮なのはいいことだが新鮮すぎても美味しくないとのこと。新鮮すぎると身がぷりぷりしすぎて硬すぎる歯ごたえの刺身になるんだそうです。魚の種類によって、一晩から1、2日寝かした方がおいしく食べられます。 

しかし鮮度を保ちながら保存するのが難しいそうで、魚の種類によって氷や水の量を調整して寝かします。どの魚を、どのくらいの氷で、どうやって冷やすのかは、義勝さんの長年の経験によっていて、まさに職人技です!こういった技術がスーパーなどにはないおいしい魚を生むのでしょう。

義勝さんの言葉で印象に残ったのが「魚臭くない魚屋をめざす」です。新鮮な魚を仕入れるだけでなく、長年磨き上げた技術を使って常に新鮮な状態に保つことで、魚屋なのに魚の臭いがしない、ある意味魚屋らしくない魚屋を目指しています。

さんけい魚店では干物やポーポー焼きといった加工品も取り扱っています。小名浜の歴史や伝統といった地元感は、料理や加工品の中に、強く感じることができます。

皆さんも、美味しい魚が食べたくなったら、ぜひ小名浜のさんけい魚店までお越しください!

 

イベント詳細

イベント名筑波大学社会学類・いわきでの調査実習
日程2018年11月8日
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