レポート
2022.05.31

あの日の記憶を残し、伝えていく

 

みなさん、こんにちは!
海と日本プロジェクトinふくしま、レポーターの前野です。

 

 

先日、初めて双葉郡浪江町にある震災遺構「請戸小学校」に行ってきました。
今回はそのレポートをお届けします。
請戸小学校がある請戸地区は、東日本大震災で154人が津波の犠牲となり、その後災害危険区域に指定されました。現在は人が住めない地域になっています。

 

 

震災の記憶を後世に伝えるべく、2021年10月24日、福島県初の震災遺構として請戸小学校は開館しました。当時津波に襲われ、校舎の2階まで浸水しましたが、校内いた児童と教員は学校から約2km離れた場所にあった標高40mほどの大平山に避難したことで、奇跡的に犠牲者は出なかったそうです。

 

 

請戸小学校の入り口から中に進むと、震災前の浪江町の暮らしを伝える写真、震災時の状況が記されているボードが展示されていました。特に印象的だったのが、校舎の側に展示されていた、請戸小学校の教員・児童が大平山に避難するまでの様子を記した紙芝居です。

 

 

この紙芝居を制作を呼びかけたのは、東京都新宿区に活動拠点をもつNPO法人『団塊のノーブレス・オブリージュ』です。環境・教育・福祉、様々な社会課題に対して問題意識を持ち、それぞれの方が持つ経験や人脈を用いて、新しい未来を作ることを目的に、これまで復興支援事業や地域・まちづくり事業を行ってきました。

2014年に浪江町を訪ねた団塊のノーブレス・オブリージュのメンバー達。そこで、請戸小学校の被害の大きさと全員無事に避難していた話を知り、これを多くの人に知ってもらいたいと思い、一緒に訪れていた武蔵野美術大学の学生と紙芝居の制作にとりかかりました。

 

 

地元の方への丁寧なヒアリングを重ね完成した紙芝居「請戸小学校物語」。この紙芝居があるからこそ、教室の壁が落ち、文字盤が曲がってしまった被害の様子とともに、「地域のことをよく知ってたからこそ迅速な意思決定が行われ、避難することができた」という請戸小の教訓を、来館者に届けられるのだと思いました。

いざという時に備えて日頃どんな行動を心がけていくのか。今を生きる私たちに必要な姿勢を、団塊のノーブレス・オブリージュのメンバーが中心に作った紙芝居に教えてもらいました。

 

 

この日、私は震災時にいわき市で被災した方と一緒に請戸小学校に訪れていたのですが、見学した後にその方が当時の様子を話してくれました。

「当時の様子を語る機会が減ってしまったんだけど、震災遺構があることで、またこうやって思い出す機会になってよかった。」
この言葉から、地元の浪江町、請戸地区の心の拠り所になるだけでなく、当時感じていた様々な想いを吐露できるみんなの居場所になるという役割も、請戸小学校がもっているのではないかと感じました。

震災遺構として残されている建物もあれば、会議の結果取り壊されることが決まった、もしくはもう壊されてしまった建物もあります。あの日の記憶を語ることができる人もいれば、吐き出しどころがなくなってしまった想いを抱える方もいます。

今ある資源で、何を伝え誰に届けていくのか。それを考えるきっかけをもらった体験でした。
双葉郡に行く際は、ぜひ請戸小学校に行ってみてくださいね!

海と日本プロジェクトinふくしまレポーター:前野

イベント詳細

イベント名震災遺構 浪江町立請戸小学校
場所〒979-1522 福島県双葉郡浪江町請戸持平56
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