みなさん、こんにちは。海と日本プロジェクト in ふくしまレポーターの松井です。先日相馬市にあるカゲスカ海岸を訪れた際に、砂浜に多くの海ごみが散乱しており、より実感を伴って海ごみ問題の深刻さを理解しました。
最近、路上などでマスクのごみを見かけることが増えたように感じます。現在広く使用されている使い捨ての不織布マスク、一見すると紙でできているように見えますよね。実はこの不織布マスク、公衆衛生上の観点から「可燃ごみ」に指定している自治体が多いですが、主な成分はポリプロピレンやポリエチレンなどのプラスチックなんです。これまで、海と日本プロジェクト in ふくしまでは、海ごみの大半がプラスチックごみで占められていて、海に流れ出たプラスチックは分解されることなく途方もない年月をかけて海をさまようということをお伝えしてきました。(参考:【海ごみレポート2】漂着ごみから見る、海ごみの正体)
(出典:https://oceansasia.org/ja/covid-19-facemasks/)
コロナ禍で着用機会が増えたマスクは海ごみ問題に大きな影響をもたらしているのではないかと、気になって調べてみました。すると気になるデータが出てきました。香港に拠点を置く海洋保護団体「OCEANS ASIA」は、2020年に推定15億枚以上の使い捨てマスクが海に流出したという試算を報告しました。2020年に世界で製造されたマスクの生産量は520億枚と想定されるので、約3%が海に流出していることになります。
こうしたコロナ禍での新たな海ごみ、コロナごみ問題に関する取り組みを2つご紹介します。
1 Save Sea Project 2021
(出典:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000062.000057815.html)
横浜の化粧品メーカー・NMTが海を愛する企業に声をかけ、立ち上げたプロジェクトです。これは、マスクを始めとするコロナごみ防ぎ、海を守る取り組みです。具体的には、海を利用した参加者はマスクを自宅に持ち帰る写真や、海を漂流していたマスクを拾った写真に、SNSで「#savesea2021」とタグ付けしてアップすると、参画企業の商品を特別価格で購入することができます。
このように参画企業の商品を特別価格で購入することができるというインセンティブがあることで、積極的に参加してくれる人が増える効果が期待できそうで面白い取り組みだと感じました。投稿期間は2021年7月15日〜8月31日。誰でも気軽に参加できるので、みなさんもぜひ参加してみてください。
2 Marie Bee Bloom
(出典:https://www.mariebeebloom.com/?lang=en)
こちらは、オランダのグラフィックデザイナー・Marianne de Groot-Ponsがつくったマスクです。耳紐は羊毛、生地は植物を利用した雁皮紙などが使われていて生分解性100パーセントとなっています。表面に印刷されたロゴまで徹底して、生分解性のものが使われています。さらに、このマスクの面白いところは、中に花の種が仕込まれていて、使い終わったものを土に埋めると、花が咲くというところです。マスクを植えて花が咲くなんて素敵ですよね。実際このマスクには、1人では生産が追い付かなくなるほどの注文が殺到したようです。
こうした生分解性のマスクは、日本の企業でも開発が進んでいます。今や外に行くときには手放せないアイテムとなったマスクですが、購買時にこういったものを選択することが海ごみの削減に繋がるはずです。
今回ご紹介した2つの事例に共通することは、消費者に向けたインセンティブがあることです。あまり海ごみ問題に関心がない人たちに対し、海の清掃や環境に配慮した商品の購買を求めても、実際にその声が届くかと考えると正直難しいのではないかと感じてしまいます。「マスクを持ち帰る写真をSNSにアップするだけで安く商品を買えるなんてお得だ!」「マスクを植えて花が咲くなんて面白そう!」といった風なところから、普段海ごみの問題に関心を持っていなかった人たちに向けての回路が開かれ、段々と海ごみの問題について知っていって、関わりを持ってもらえるようになる。この2つの取り組みからはそんな可能性を感じました。
海プロ in ふくしま レポーター:松井武郎
【参考資料】
OCEANS ASIA COVID-19 フェイスマスクと海洋プラスチック汚染
PR TIMES Save SEA Project 2021 海開きでコロナゴミ増える!コロナゴミを防げ!海を愛する企業たちが一致団結!
イベント名 | 海ごみに使い捨てマスクが急増 |