レポート
2016.07.11

福島第一原発沖の海の今 市民が「自分たちで」調べる

 

原発事故の影響が残る福島の海。自治体などに任せることなく自分たちで調べて発信しようという市民調査チーム「いわき海洋調べ隊 うみラボ」の活動が続いています。7月3日(日)には17回目となる海洋調査が行われました。「海と日本プロジェクトinふくしま」でも、このたび調査に同行させて頂きましたので、今回のエントリでは調査の模様をレポート致します。

2013年から活動が始まったうみラボ。いわき市の有志の市民を中心に、水族館アクアマリンふくしまの獣医の先生など専門家を交え、自分たちで福島の海を知ろうというプロジェクトです。福島第一原子力発電所沖で海底土や魚を採取し、その放射線量を計測し、継続して情報発信を続けられています。

この日の調査は、あいにくの天気。海上を霧が覆いますが、船はずんずんと太平洋を北上していきます。途中、福島第二原子力発電所や富岡漁港などを海から見ながら福島第一原子力発電所を目指します。こうして実際に自分の目で確認できるということが、このうみラボの特徴です。

福島第一原発沖では早速、海底土と魚を採取。未だに漁が自粛されている海域ですが、皆さん笑顔で釣りに興じていました。シロメバル、キツネメバル、クロソイ、アイナメ、ヒラメなど、沿岸の比較的浅い海域に棲む魚が大漁。改めて福島の海の「資源回復」のすごさを実感できます。

福島県沖の魚介類については、この1年、採取されるすべての魚のうち、国の基準値である100Bq/kgを超える検体は今のところ見つかっておらず、うみラボの調査でも同様の結果が見られるとのこと。原発事故の発生から5年余り。福島の海は着実に回復傾向にあるようです。こうして市民が主体になるからこそ、自治体が発表するデータのチェック機能も果たせます。

 

市民が自分たちの目で見、自分たちで調査する

  1. 霧に包まれた東京電力福島第一原子力発電所
  2. 漁の自粛されている区域なので漁業資源が回復している
  3. 専門家を交え、福島の海について情報交換

 

福島第一原子力発電所というと、未だに事故当時のイメージを思い浮かべる方も多いかもしれませんが、復旧作業が着実に進んでおり、当該海域の魚も回復傾向にあることが実感できました。この5年という月日のなかで進展してきたことにも目を向けたいところです。

うみラボでは、月に1回程度海洋調査を行っていて、その都度、一般の調査同行者を募り、市民の手による情報発信にも取り組んでいます。機会があれば、ぜひ皆さんもこの活動に参加してみて下さい。

 

魚を釣って楽しく調査

  1. この海域ではよく釣れるという「クロソイ」という魚
  2. 初めて釣りをしたという女性もこんなに大きなヒラメをゲット
  3. こちらの女性も釣り初体験ながら大漁!

 

原発事故から漁が自粛されていたため、魚の量が増えているという福島県沖。原発事故はたくさんのものを奪っていきましたが、反対に渡したちに「残した」ものもあるようです。奪われたものだけでなく、得られたものにも目を向けていきたいものですね。

 

イベント詳細

イベント名いわき海洋調べ隊うみラボ海洋調査
参加人数20
日程2016年7月3日
場所福島第一原子力発電所沖
主催いわき海洋調べ隊うみラボ
協力アクアマリンふくしま
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