子どもたちが海を学ぶ ぎょぎょっと発見「常磐もの」カツオ守り隊! トラフグ広め隊!を開催

2023-11-9
海と日本PROJECT in ふくしま

今年7月から10月にかけ、海と日本プロジェクト in ふくしまでは、子どもたちが海を学ぶ独自イベント「ぎょぎょっと発見「常磐もの」カツオ守り隊! トラフグ広め隊!」を開催しました。福島県内の小学校に通う小学生23名が、合計3回のワークショップに参加、さまざまな体験学習を通じて、今、福島の海で起きていることを学ぼうというイベントです。

福島県沖の海は、南からの黒潮と北からの親潮がぶつかり合う好漁場で、「潮目の海」とも呼ばれます。四季を通じて、約200種類にもおよぶ豊富な魚介類が水揚げされます。近年は、海水温上昇による海自体の変化により、漁獲量に変化が生じていますが、その漁獲量にスポットを当て、減少する「カツオ」、増加する「トラフグ」を中心に福島の海がどう変化しているのかを学びます。

というわけで、今日は、海と日本プロジェクト in ふくしまの専任事務局員である小松が、こちらのイベントの模様をじっくりとご紹介したいと思います。

初日は小名浜でカツオをしっかりと学ぶ

  1. 実習船「福島丸」に乗り込み1本釣りの体験
  2. カツオを美味しく調理する方法も学びました
  3. 海水温など科学的な裏付けも学習していきます

7月25日のイベント初日は、小名浜でカツオをじっくりと学びます。

いわき市の小名浜漁港に集合した子どもたち。まず、小名浜海星高校の実習船「福島丸」に乗り込み、カツオの1本釣り体験に参加。そのあと、水族館「アクアマリンふくしま」や小名浜海星高校を訪れ、カツオの生態や調理法などについてじっくりとレクチャーを受けました。

船に乗ること自体が初めてだという子どもたちがほとんどでしたが、積極果敢に一本釣り体験に参加。魚を釣ることの大変さと魅力と、どちらも学ぶことができました。水族館や高校での授業では、たくさん出てくる数値や用語に戸惑いながらも、しっかりと先生たちに食らいつき、海水温や生態系の変化により、カツオの水揚げが減っていることを学んでいきました。

トラフグが水揚げされる相馬の魅力を体験

  1. まずは相馬市の原釜小浜海水浴場で磯遊び
  2. 最高級品のトラフグをガッツリ試食しました
  3. 水産資源の専門家からハイレベルなレクチャー

初回から3ヶ月が経過しようという10月。久しぶりに同じメンバーが相馬市に集まりました。この日は、相馬を中心に福島県北部で水揚げ量が増えている高級魚「トラフグ」を学びます。

勉強の前にまずは磯遊び。原釜小浜海水浴場に集まった子どもたちは、磯で「カニ釣り」を体験したあと、ライフセーバーから海難事故や救命救急についてのレクチャーを受け、さらに、水温10℃の冷たい海水と20℃のぬるい海水を入れた2種類のプールに足を突っ込み、「海水温の違い」を体で体験。

カニ釣りはコツを掴むと一気に何匹も釣れるので、終了時間を告げても「まだやりたい!」と遊び足りない様子でした。東日本大震災以降、海や浜で遊ぶ機会が減っている子どもたちが多くなっているとよく聞きますが、「遊び方」さえ伝われば子どもたちはまた海に戻ってきてくれると確信しました。

子どもたちはそのあと会場を移してじっくりと授業。福島県の海洋資源研究所の研究員、神山享一先生から、魚の生態、漁業資源の現状、最新の「持続的な漁業」のあり方などについてレクチャーを受けました。慣れない専門用語は子どもたちにとっては難しかったかもしれませんが、海に対する知的好奇心がくすぐられたのか、最後のほうは子どもたちからも質問が寄せられていました。

さらにそのあと、トラフグの調理法を学ぶため、地元の料理人である割烹やましたの鈴木親方から、トラフグの食材としての魅力や、捌き方などのレクチャーを受けました。写真にもありますが、大皿に盛られたフグの刺身をたっぷりと試食。「こんなにおいしいとは思わなかった」と絶叫しながら試食を楽しむ子どもたちの姿が印象的でした。

ハイレベルな授業に、食らいつく子どもたち

  1. 最新の漁業管理法「CPUE」について学びます
  2. 山口県の子どもたちとオンラインで意見交換
  3. フグの試食タイムがいちばん盛り上がりました

そして2日目の最後は、山口県で海洋調査をしてきた子どもたちのチーム「フクワク調査隊」のメンバーとオンラインでつなぎ、互いの研究成果を発表し合う時間をつくりました。

トラフグは山口県の名物となっているため、トラフグを調理できる資格を持つ料理人が3000人以上もいるそうですが、福島県では、この資格を持つお店がまだ30店舗ほど。新しい名物にしていくためには、更なる盛り上がりが必要だということを子どもたちは学びました。

トラフグをこの日、人生で初めて食べた子どもたち。そのおいしさに驚きつつ、海洋資源は、地球温暖化の影響を受けやすいこと、地元の名物も数年間で変化してしまうこと、地域の自分たちで食文化を創出し、守っていかなければすぐに廃れてしまうことを感じたようです。子どもたちが大人になるころ、相馬は日本を代表するトラフグの聖地になっているか。私たち大人も、問われます。

2日間の学びを「言葉」や「イラスト」にする最終日

  1. 学んだトラフグやカツオをイラストにしていきます
  2. いわき市出身の芸人、ゴー☆ジャスさんも来場!!
  3. イラストとキャッチコピーをオンラインで発表

10月15日は、いよいよイベント最終日。この日は、これまでに学んだことを言語化・イラスト化する作業です。今回子どもたちが描いたポスターは、なんと具体的な惣菜商品や包装資材のデザインに使われることになっています。ただ単に絵を描くだけでなく、それが実際にプロダクトになるということで、子どもたち、かなり真剣です。

カツオについて描くグループと、トラフグについて描くグループとに分かれ、まずは「なにがいちばん印象に残っているか」からグループ内で感想をシェア。絵にするヒントを探ります。その後はじっくりと制作タイム。マジックなどを使って、これまでに学んだことや市民に訴えたいこと、伝えたいことを、言葉と共に絵にしていきます。

完成した絵は、これまで調査に協力してくれた方に対して発表するのですが、トラフグチームはオンラインでつなぎ、相馬の皆さんにプレゼン。カツオチームは、商品化に協力してくれた企業の担当者に向けてそれぞれプレゼンし、自分たちのメッセージを伝えました。

これから商品化されるので、具体的なポスターの絵柄についてはこのタイミングでは皆さんにお知らせできないのが残念ですが、ものすごく魅力的で可愛らしいイラストがいくつも描かれました。個性的な作品も数多く、これから完成する商品を彩るすばらしい作品が集まったと思います。

7月から足かけ3ヶ月間。いわきと相馬、福島を代表する2ヶ所の海でじっくりと学び体験した子どもたち。これからも、福島の海に関心を持ち、存分のこの資源を遊びまくってくれるはずです。そして私たち大人も、福島の海や海産物を満喫し、楽しんでいく姿を子どもたちに見せていきたいものです。

この日の模様は、福島中央テレビのミニ番組でも紹介される予定です。ぜひご覧いただき、子どもたちの奮闘ぶりを、その目に焼き付けていただければと思います!!

 

イベント名オリジナルイベント『ぎょぎょっと発見「常磐もの」カツオ守り隊! トラフグ広め隊!』
参加人数23名
日程2023年7月25日、10月8日、10月15日
場所いわき市、相馬市各所
主催一般社団法人 䜅くしま海と緑のプロジェクト
協力福島県立小名浜海星高校、株式会社マルト、県水産資源研究所、相馬双葉漁業組合、割烹やました、相馬市千客万来館、松川浦ガイドの会、アクアマリンふくしま
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