みなさんこんにちは!
海と日本プロジェクト inふくしまレポーターの前野です。
2023年6月26日(月)、四倉海岸にて昼花火を打ち上げるイベント「満点の桜が咲く日」が開催されました。イベント直前まで雲に隠れていた太陽も、花火の打ち上げと同時に顔をのぞかせ、晴天にめぐまれました。海岸沿いに打ち上げられる4万発の昼花火を楽しもうと、四倉海岸には、地元四倉小学校の生徒をはじめ、多くの人がつめかけました。
このイベントの主催を務めたのは、満点の桜実行委員会のみなさんです。実行委員会には、いわき市平中神谷にある回廊美術館を中心に、9万9千本の桜を植えるプロジェクト「いわき万本桜プロジェクト」の代表・志賀忠重さんと、回廊美術館のデザインを手がけた世界的な現代アーティスト・蔡國強さんらが加わり、「鎮魂」と「自然への畏敬」をテーマにして蔡さんが制作した6つの作品(昼花火)が打ち上げられました。
イベントではまずオープニングセレモニーが行われ、志賀さんと蔡さんがイベント開催への思いを語りました。志賀さんは、東日本大震災と原発事故の教訓を後世に伝えていくことを目的に、一人一本ずつ桜の木を植樹する「いわき万本桜プロジェクト」をはじめられました。
いわきに世界一の桜の名所を、誰もが訪れたくなる場所をつくりたいという志賀さんの思いに共鳴し、いわき万本桜プロジェクト発足当初から活動をサポートしているのが現代アーティストの蔡さん。
いわき万本桜プロジェクトでは、9万9千本の桜を植樹することを目標にしていますが、これは蔡さんの故郷・中国で「永遠」を表す数字「99」にちなんでいます。志賀さんは、当時留学生の蔡さんが、無名のアーティストとして日本で活動していた頃から取り組みを応援していて、それがきっかけとなり今でも交友関係が続いています。
「東日本大震災が起こった時に、お世話になった志賀さんら、第二の故郷であるいわきのみなさんのために何か力になりたいと思いました」と語る蔡さんは、震災後も定期的にいわきを訪れ、回廊美術館に「龍骨」をはじめとする自身の作品を展示してきました。今回制作した昼花火も、震災で亡くなった方への弔いと、いわきへの感謝が込められているそうです。
オープンニングセレモニーが終わったあと、ついに花火が打ち上がりました。はじめにあがったのは「地平線ー白い菊」「白い波」「黒い波」「記念碑」など、津波や鎮魂がテーマになった作品です。爆発音と共に、80メートルを超える巨大な煙が出現。白や青、黒などさまざまな波の姿をイメージさせる花火に、会場からは歓声と驚きの声があがっていました。
続いて打ち上げられたのは「満点の桜」、「桜の絵巻」など、桜がテーマになった作品です。子どもたちからインスピレーションを受けてつくったという作品「桜の絵巻」では、枝別れした木々から満開の桜が咲き誇る様子をイメージした、鮮やかなピンク色の煙が空を覆いました。
志賀さんと蔡さんは、自分たちが亡くなった後の300年先まで見据えて、東日本大震災や万本桜の活動を伝えていきたいと語ります。震災から12年経った今、「花火」だからこそ伝えられる当時の記憶や未来へのメッセージがあるのだと感じました。
2023年6月29日(木)からは、東京都・六本木にある国立新美術館で蔡國強さんの個展「蔡國強 宇宙遊ー〈原子火球〉から始まる」が開催されます。みなさん、ぜひ足を運んでみてください。
イベント名 | 満点の桜が咲く日 |
参加人数 | 約1000人 |
日程 | 2023年6月26日(月) |
場所 | 四倉海岸 |
主催 | 満点の桜実行委員会 |
協賛 | 福島県いわき地方振興局、いわき市、いわき市立美術館、(一社)いわき観光まちづくりビューロー、四倉町商工会、四倉町観光協力会、四倉地区区長会、道の駅よつくら港、四倉ふれあい市民会議 |