これまで何度かこのサイトでも紹介している、いわきの海洋調査チーム「うみラボ」が、今年最初の「福島第一原発沖の調査」を行いました。震災から7年。かつては「汚染」という言葉で語られた福島の海。現在は「資源回復」を強く訴えかける、豊かな海へと姿を変えていました。現場をレポートします。
いわき海洋調べ隊うみラボの海洋調査は、6月30日(日)に行われました。釣り船には参加者らおよそ15名が乗り込み、いわき市の北にある久之浜漁港を出発。その後、福島第一原発から10km圏内の大熊沖、さらにそこから離れた原発10km圏外の富岡沖、この2箇所で魚を採取する調査を行いました。
現在、福島県の漁業は、原発から10km圏内で漁が自粛されています。今回の調査は、その10km圏内の魚たちがどのような状況になっているのかを知るための調査。ポイントに着くと、一斉に釣りが始まりました。大きなヒラメ、アイナメ、メバル、クロソイなど海底に棲む魚たちがどんどん釣れていきます。
福島県の海は、震災直後から限定的な漁を続けてきました。それが功を奏し、魚の数が大幅に回復しています。魚も大きく成長し、この海域では、初めて釣竿を握るような人ですら超大物を釣り上げることができます。「汚染」という言葉が、ほとんど似つかわしくないほど、この海域は豊かになっているんです。
富岡沖では、見たことがない巨大生物(トップの画像)が。アクアマリンふくしまの富原獣医によると「クロアナゴ」だそうです。それ以外にも、大きな魚がたくさん釣れ、その度に、船上には歓声が響き渡りました。
県外では、まだまだ「汚染された海」というイメージもあると思いますが、実際には、この7年の間に、福島の海の汚染はかなり改善し、かつての姿を取り戻しつつあります。そればかりでなく、回復した漁業資源という宝物ももたらしてくれています。
その宝物を無駄にしないよう、慎重に線量の測定を継続し、魚たちを大事に漁獲していく必要があります。世界では、漁業資源の持続性を目指した「資源管理漁業」が主流。福島の漁業も、資源への眼差しを抜きに語ることができません。
大事に食べていく。大切に伝えていく。この宝物を守るため、私たち消費者にもできることがあるはずです。
(専任事務局員:小松)
イベント名 | うみラボ 福島第一原発沖海洋調査 |
参加人数 | 16名 |
日程 | 2018年6月30日(日) |
場所 | 大熊沖、富岡沖 |
主催 | いわき海洋調べ隊 うみラボ |