みなさん、こんにちは。海と日本プロジェクト in ふくしまレポーターの松井武郎です。
先月、「海無し市」の福島市からいわき市へと移住してきました。いわきのこと、海のことをほとんど知らない私がまず手をつけたのが、いわきの海を知ること。新しくできたサイクリングロード「七浜海道」の周辺をドライブしたり歩いたりして見た風景や学んだことをレポートしています。いわき市の中之作港から始まった連載は3回目。今回は小名浜港の工場地帯を紹介します。
小名浜港から七浜海道沿いに南へ進むと、これまで訪れたところとは街の雰囲気がガラッと変わることに気付きます。片側3車線の開けた道路が続き、大型トラックが行き交います。
更に進むと、大規模な工場が立ち並ぶ小名浜臨海工業地帯に入ります。あたりには独特のにおいが立ち込め、工場機械の稼働音が鳴り響いています。工業地帯には、石油コンビナートや製錬所、化学工場などが立ち並んでいます。
こういった工業地帯はもう少し生活圏とは離れたところにあるイメージがあったため、現在小名浜の人々の生活の中心となっているイオンモールからすぐの距離に、このような工場地帯があるということに驚きを受けました。こういった普通では生活遠いところに置かれているものが、剝き出しに表れているのが小名浜の特徴の一つなのではないかと感じました。
なぜこのようなところに工業地帯があるのかということを気になってこのあたりの歴史について調べてみると、いわきという町の成り立ちが深く関係していることが分かりました。
その後、いわき市は石炭産業によって栄えますが、エネルギー革命により、石炭から石油への転換が進むと、経済的に大きな打撃を受けました。
しかし1962年から行われた全国総合開発計画で、いわき市は「新産業都市」の指定を受け、小名浜にも重化学工業を中心とした工場が造成されました。
高度経済成長期の日本の発展を支えた小名浜臨海工業地帯ですが、石炭産業が発展する以前は、そこには海水浴場があり、遠浅のきれいな砂浜が広がっていたと言います。工場造成により、海岸は埋め立てられ、現在のような姿になっています。
現在の小名浜臨海工業地帯は、一般的な「海」「自然」といったイメージからはかけ離れた姿をしています。普段の観光などでは、こういったところに訪れる事はそうないのではないかと思いますが、こうした所から、経済的な発展が、私たちの生活に何を引き換えに、何をもたらしたのかということを考えてみると面白いかもしれません。それではまた次回!
海プロ in ふくしま レポーター:松井武郎
イベント名 | いわき七浜海道 小名浜臨海工業地帯 |