東日本大震災で巨大津波の被害を受けた福島県浜通り。地域の復興の「今」を見つめ、今一度、海に根付いた地域の文化や、その町に生きて来た人たちに思い馳せたい。海と日本 PROJECT in ふくしまでは、そんな思いから、被災地の今を紹介するシリーズ「海と復興」をお届けしています。
第15回目となる今回は、いわき市北部の漁業の中心地、久之浜漁港について。
久之浜漁港は、いわき市の最も北にある漁港です。震災前は、ヒラメやカレイなど、近海の底引き網漁で獲れる新鮮な魚介類で有名で、地元には、久之浜産の魚介類を楽しめる飲食店が地元の人や観光客の舌を魅了してきました。それが一変したのが東日本大震災でした。
久之浜地区は、地震と津波だけでなく、それが原因で起きた大規模火災によって大きな被害を受けました。また、福島第一原発の事故による影響で、久之浜漁港の「水揚げ拠点」としての機能は未だに復旧していません。出漁は行われていますが、かつてのような魚市場としての機能が戻っていないのです。
堤防に繋がれた漁船たちは少し寂しげにも見えますが、復旧工事は進められており、近い将来、この久之浜漁港も震災前の賑わいを取り戻すはずです。水産物の安全性が周知されるに従って、釣り人も戻ってきました。震災前の姿を少しずつ取り戻している途中、というところでしょうか。
福島県で「海との関わり」を考える時、やはり、東日本大震災と原発事故を考えずにはいられません。私たちはどのように海と関わり、地域の産業を見守っていけばよいのか。まだ復旧の途中にある港だからこそ、さまざまな問いが生まれてきます。完全復旧して賑わっている場所ではないからこそ感じられるもの。それこそ、東北ならではの学びになるのではないでしょうか。
(専任事務局員・小松)
イベント名 | 久之浜漁港 |
場所 | 福島県いわき市久之浜町館ノ山 |