みなさん、こんにちは! 海と日本プロジェクトinふくしま、レポーターの染矢です。
前回に引き続き、いわきの海を守る主「塩屋埼灯台」の第二弾として「絶景・灯台を愛する人との出会い編」をお送りします。
展示室を後にし、いよいよ本命の塩屋埼灯台へ!
意気揚々と入口に行くと、張り紙に「階段は103段です」の文字が…。「さっき灯台に来るまであんなに急な坂を登ってきたのに、また上るの?!」と後ろ向きな気持ちになりながら、螺旋階段を黙々と上ります。くじけそうな気持ちになっていると、階段の端に上ってきた階段の数が10段ごとに書いてあるのを発見! この数字のおかげで、途中で諦めずに頂上に着くことができました。
外に出てみると、薄暗い灯台の内部の景色から一転して、目の前には絶景のパノラマビューが! 一瞬、想像以上の高さに足がすくみましたが、外へ出た開放感も相まって一気にテンションが上がります! 北に薄磯海岸、南に豊間海岸が広がっており、灯台のまわりをぐるりと回って、いろんな角度から海を楽しむことができます。地上から海を見ている時には気がつかなかった、海の色の変化や波の様子がよく観察でき、改めて海の美しさに魅了されました。
帰りに灯台の麓にあるおみやげ屋さん「馬目商店」に立ち寄ると、気さくな店主の馬目由貴子さんに声をかけられました。店内にあった震災前の写真について尋ねると、震災前の町の様子や震災の被害を紹介する自前の資料を見せて教えてくれました。震災前の写真には、海沿いにびっしりと住宅街が密集し、豊間海岸には常設の海の家が立っています。海沿いに立つ家屋はほとんどなく、立派な防波堤が永遠と続く殺風景な現在の姿とのあまりの違いに愕然とし、改めて津波の凄まじい威力を感じました。
灯台のすぐそばにある豊間海岸や薄磯海岸は、いわきで最も被害が大きかったエリア。それにもかかわらず、この馬目商店があるおみやげ屋さんと、目の前にある美空ひばりの石碑だけは被害がなかったのだそう。馬目さんは「“奇跡のおみやげ店”と呼んでいるんだ!」と誇らしそうに教えてくれました。
実は、馬目さんのお父さんは、かつて塩屋埼灯台の「灯台守」をしていました。当時、高台にある灯台へ水を引くことができなかったため、灯台を訪れる人から飲料水を求める声が多かったのをきっかけに、灯台の麓で売店を始めたようです。灯台と共に人生を歩んできた馬目さんは、灯台に対する愛情も人一倍! 会話の中で何度も「塩屋埼灯台はとってもかっこいいのよ!」と口にしていました。
「豊間海岸から見る灯台がいちばんかっこいいんだから!」という言葉につられ、帰りに豊間海岸へ寄り道することに。いつも遊びに来ていた場所ですが、馬目さんの灯台愛を浴びたからでしょうか、なんだか今日の灯台は、一段とカッコよく見えます。海と空の青さに白亜の外観が映え、凛として海を静かに見守る姿に見惚れました。
塩屋埼灯台をきっかけに、灯台のことだけでなく、震災について考えさせられたり、灯台を愛する人との出会いがあったりと、濃厚な1日となりました。
みなさんもぜひ海を守る主に会いに訪れてみてはいかがでしょうか。
イベント名 | 塩屋埼灯台 〜絶景・灯台を愛する人との出会い編〜 |