レポート
2025.09.25

その量去年の2倍! 相馬でスルメイカが豊漁

画像は相馬双葉漁協ウェブサイトより引用

相馬沖で9月に解禁された底引き網漁業で、スルメイカが異例の大漁となっています。読売新聞の報道などによれば、相双漁協の10日までの水揚げ量は約84トン。昨年の同じ時期の約48トンを75%も上回ったということです。連日の水揚げで港も活気に沸いており、相馬双葉漁港のウェブサイトでも、水揚げが多い様子が紹介されていました。

スルメイカといえば、近年は「絶不調」というべき不漁が続いていました。昨年度の全国の漁獲量は過去最低の約18,000トン。さまざまなメディアで、イカが獲れない、イカが高いと伝えられていたことを覚えている読者も多いと思います。

ところが一転、今年はイカ絶好調。三陸沖なども好調のため、水産庁が急遽沖合底引き網漁業によるスルメイカの漁獲上限を全国で2600トンと定めることになり、相双漁協も想定以上の水揚げを受けて、9月17日から1回の漁で1隻2トンまでとする漁獲上限を自主的に設けたそうです。獲れすぎないように配慮される、それほど水揚げされているということになります。

理由は黒潮大蛇行の終了?

このスルメイカの水揚げに関わっていると言われているのが黒潮大蛇行です。黒潮は、日本の南側の岸を沿うように北東方向へと流れる暖流。黒潮大蛇行は、この黒潮の流れが大きく湾曲する現象で、漁場の位置や魚の種類が変化するなど、特に水産業に大きな影響を与えてきました。

それまで獲れていた魚が獲れなくなる現象(魚種交代)や、ヒジキやワカメなどの海藻類の生育環境にも悪影響を及ぼし、海藻を食べるアワビやサザエ、イセエビなどの不漁にもつながったとされています。スルメイカもその影響を受けてきました。

※スルメイカの水揚げ量減についてはさまざまな見方があるようで、魚食普及推進センターのウェブサイトによれば、海外の漁船の漁獲などさまざまな理由を考察しています。

ところが、気象庁が8月29日、2017年から続いていた黒潮の流れが大きく曲がる現象「黒潮大蛇行」が今年4月に終息したと宣言したのです。水産庁も、今回のスルメイカ水揚げ増について、海水温などが成長に適した水準に変化したことによってもたらされた可能性があると分析しているようです。

もちろん、しっかりと研究しなければ背景は掴めませんから、これから本格的な調査が行われていくことになると思われますが、謎の水揚げ増、港町にとっては、待ちに待った豊漁であり、水揚げ港では期待の声が上がっているようです。

スルメイカは、相馬やいわきなど、福島県沿岸でよく漁獲される魚種として知られています。今回の「謎の水揚げ増」は、港町にも活気を与えているはず。ぜひみなさん、この時期に、福島のスルメイカを味わってみてください。

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