今年、海と日本プロジェクト in ふくしまでは、福島の海の復興の現状や風評被害について現地調査を行う、筑波大学社会学類・五十嵐泰正ゼミとコラボ。学生目線で、そのリサーチ結果や感想をレポートしてもらう連載企画をスタートします。初めて福島の海を訪れる学生たち。福島の海は、彼らの目にどのように映るのか。これからの「海づくり」の参考にすべく、長期的に連載していきます。
筑波大生現地調査レポ vol.15
お母さん自慢のいわきの味
みなさんこんにちは! 海と日本プロジェクトに協力させていただいています、筑波大学社会学類3年の別府です。実習最終日の7月24日は、いわき市四倉にある「くさの根」でお昼ご飯を食べました。そこで今回のブログでは、「くさの根」の魅力を伝えていこうと思います!
「くさの根」は、「食堂 くさの根」、「くさの根 直売所」、「くさの根 加工場」の3つの部門が合わさったお店です。まず初めに「食堂 くさの根」を紹介していきましょう。
「食堂 くさの根」では、とれたての鮮魚がたっぷり乗った海鮮丼から、アッツアツのジューシーなから揚げ定食、さらにはラーメンまで、様々なメニューをお手頃価格で取り揃えています。毎日通っても飽きなさそうですね! しかもサラダは食べ放題! ゆずの風味がきいたサッパリドレッシングでいただきます。
2階にはテラス席もあり、四倉の風を感じながらご飯を食べることもできます。1階にも大きなテーブルが並んでおり、こちらでもご飯を食べられます。階段を上るのがちょっとつらいという方も安心ですね。1階はバリアフリーのつくりで、多目的トイレも備えている、とってもやさしい食堂です。「食堂 くさの根」は、子供連れの家族も気楽に来れるような食堂を目指しているんだそうです。
1階の「くさの根 直売所」で、店主の新谷さんにお話を聞きました。実は新谷さんは、震災以前から魚の仲買をされていて、「くさの根 直売所」には、新谷さんが市場で選んできた新鮮な魚介や採れたての野菜などが並んでいます。新谷さんは、沼ノ内漁港で魚を仕入れて、加工をし、お店で出す、という今のスタイルを理想としていたそうです。まだ始まったばかりだけど実現して嬉しい、とはにかみながら話す姿が印象的でした。
この直売所には、たくさんの干物が売られています。震災前は、小さな生魚を仕入れると、近所の人たちが買いに来て、各家庭でみりん干しなどの干物を作っていたそうです。しかし、震災後しばらくは、地元の海の魚は採れなくなってしまいました。くさの根では、やっと2017年の12月から、沼ノ内漁港に上がった魚を仕入れて提供する、現在のスタイルを開始することができたそうです。
また、干物を作るために外に魚を干そうとすると、「汚染されるのではないか」「危ないのではないか」と指摘されることもありました。そのため、現在は乾燥機を購入して、屋内で魚を干しているそうです。新谷さんは「震災前のようにおばちゃんたちが自家製の干物を作ろうと魚を買いに来てくれるようになれば、東日本大震災の心の痛みが少し消えるかな。」と話していました。震災と闘いながら、いわきのお母さんたちが愛情をこめて作った干物をぜひ食べてみてください。
直売所には、2階の「くさの根 食堂」でサラダにかけて食べた「完熟ゆずまるごとドレッシング」も販売されています。震災直後の時期には、福島県内産のゆずに放射能が検出されたため、関西のご友人から原料を送ってもらっていたそうです。もう県内でもゆずから放射能は検出されなくなりましたが、今も友人から送ってもらうゆずでドレッシングを作っているとのことです。
新谷さんは、「他県の人にも食べてもらいたいと思い、ホッキ飯のレトルトやドレッシングの開発を考えています。いわきの魅力を発信していきたいです」と熱く語ってくれました。
みなさんも四倉に訪れる際は、ぜひくさの根に足を運んでみてくださいね。
イベント名 | 筑波大学社会学類・いわきでの調査実習 |
日程 | 2018年7月24日 |