筑波大生現地調査レポ19  対話で学ぶ福島の魚

2018-10-1
海と日本PROJECT in ふくしま

 

今年、海と日本プロジェクト in ふくしまでは、福島の海の復興の現状や風評被害について現地調査を行う、筑波大学社会学類・五十嵐泰正ゼミとコラボ。学生目線で、そのリサーチ結果や感想をレポートしてもらう連載企画をスタートします。初めて福島の海を訪れる学生たち。福島の海は、彼らの目にどのように映るのか。これからの「海づくり」の参考にすべく、長期的に連載していきます。

 

 

筑波大生現地調査レポ vol.19

対話で学ぶ福島の魚

みなさん、こんにちは!海と日本プロジェクトinふくしまに協力させていただいております、筑波大学社会学類の桜井と申します。今回は7/22(日)にアクアマリン福島にて開催された「調べラボ~福島の魚を食べてみよう~」について記事を書きたいと思います。

 

魚の年齢と体内の放射性物質の量が大きく関係している

  1. 今回話をしてくれた富原さん
  2. 賑わいを見せる調べラボ
  3. 調べラボでの展示風景

 

富原さんから、まず調べラボの現状について語られました。富原さんによると現在調べラボに参加している方の中で放射能について関心をもっている人は少なく、ほとんどの人は、調べラボで提供される福島の水産物で作られた美味しい試食(今回はタコのカルパッチョ)を食べることが目的、との事でした。

今回私は、放射能測定のお手伝いという形で関わらせていただいたのですが、富原さんがおっしゃった通り、放射能に興味がある人はほとんどいないという印象を持ちました。放射能測定を見ている方は多くいましたが、そのうちの多くの方は放射能測定の作業としてではなく、魚を捌く作業として見ているように感じました。

このことは決して悪いことではありませんが、対話形式で放射能について学ぶことのできる機会はとても貴重なものです。放射能測定に関する話まで聞くことにより、メディアからでは知りえない情報を得るとともに、放射能への理解を深めることができるので、是非多くの方に聞いてほしいと思いました。

 

私が放射能に関する話の中で最も印象的であったのは、魚の年齢と体内の放射性物質の量が大きく関係しているという話でした。原発事故が起きた2011年に生きていた魚、つまり7、8歳より年齢が高い魚は、それよりも若い魚よりも放射性物質が検出される可能性が高いということです。魚の年齢など普段意識することがないため、全く考えが及ばず、聞いて驚きました。

放射能に関する知識に限らず、他にも知的好奇心をくすぐる話をたくさん聞くことができました。あえて今回は詳細な紹介を控えさえていただくので、アクアマリン水族館に遊びに行く際は是非調べラボにも足を運び、富原さんの話を聞いてみてください!

 

調べラボでの放射線測定

  1. 今回測定した魚たち
  2. ヒラメを捌く富原さん
  3. 耳石を見ると魚の年齢がわかる

 

放射能測定

今回の放射能測定では、7/11に小名浜港で釣ったマゴチ、ブリ、ヒラメ、アイナメ、6/30に富岡沖10キロメートルで獲れたキツネメバル、6/25に広野沖で水揚げされたコブダイを検体としました。ちなみに7/11に小名浜港で獲れた魚の中にはゼミの学生数名と五十嵐泰正准教授が釣り体験に参加した際に釣れたものも含まれていました。また、検体の中に含まれているコブダイは福島県の海域では珍しく、今回が初めての計測だったそうです。

放射能測定は検体の魚のサイズを測る→魚を捌き、身が容器に入るサイズにカットする→容器に入れ重さをはかる(正確な値を求めるためには検体が500グラム必要)→容器を放射能測定をする装置(一台400万円!高い!)に入れる→サイズや産地、水揚げ日のデータを入力し、測定が完了するまで約1時間待つ。

という流れで行われます。前述した通り、魚をさばく過程は特に人気があり、多くの人が見ていました。

 

放射能測定の結果

最後に測定を行ったアイナメは機械の不調のため検出結果を得られませんでしたが、他の6個体のヨウ素、セシウム137、セシウム134は検出限界未満でした。

正式な値を求めるためには、500グラムの検体が必要であると述べましたが、今回測定した魚には500グラムに満たない比較的小型な魚も含まれていました。しかし、富原さんによれば、放射能が検出限界未満である結果が出た検体は、500グラムに満たなくても問題はないということでした。その理由としては、放射性物質が検出限界未満である検体は、それがどんなにサイズアップしたところで、放射性物質が検出限界未満であるという結果には変わりないからであるということでした。

今回実際に放射能測定を見ることで、現在の福島の魚には放射性物質はほとんど含まれていないという事が改めて実感できました。

 

豆知識:耳石

先ほど魚の年齢と放射能測定の結果には大きな関係があると述べましたが、魚の年齢を推測するために用いられるのが耳石(じせき)です。耳石とは、魚の頭の中にある骨で身体の平衡バランスを保つ働きがあります。

耳石は魚の成長と共に毎日少しずつ大きくなり、耳石の外側に非常に薄い線が1本ずつ作られていきます。これを日輪というのですが、日輪の間隔は魚の成長速度が速い時は広くなり、成長速度が遅い時は、狭くなります。一般的に魚は水温が低い冬は成長速度が遅く、日輪の間隔が狭くなるため、一本の太い線のようになります。この太い線を年輪と呼び、年輪によって魚の年齢を推定することができます。

 

読者の皆さんもアクアマリン水族館に訪れた際は、調べラボに参加し美味しい試食を食べながら富原さんの話に耳を傾けてみてください!

 

イベント名筑波大学社会学類・いわきでの調査実習
日程2018年7月22日

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