筑波大生現地調査レポ20 復興の最前線ー富岡町

2018-10-1
海と日本PROJECT in ふくしま

 

今年、海と日本プロジェクト in ふくしまでは、福島の海の復興の現状や風評被害について現地調査を行う、筑波大学社会学類・五十嵐泰正ゼミとコラボ。学生目線で、そのリサーチ結果や感想をレポートしてもらう連載企画をスタートします。初めて福島の海を訪れる学生たち。福島の海は、彼らの目にどのように映るのか。これからの「海づくり」の参考にすべく、長期的に連載していきます。

 

筑波大生現地調査レポ vol.20

復興の最前線ー富岡町

みなさん、こんにちは。「海と日本プロジェクトin福島」に協力させていただいている、筑波大学社会学類4年の仲田麻里菜です。今回、二つの原子力発電所がある双葉郡も急きょ訪れることができました。その南部に位置している富岡町を見学した時のことについて書きたいと思います。

 

 富岡町には、南側に隣接する楢葉町との間に福島第二原発があります。2017年4月1日には、北東の一部を除いて避難指示区域が解除されました。そして、同年10月下旬からはそれまで竜田駅止まりだったいわき方面からの電車が、富岡駅まで開通しました。町の再建に向けて動き出している富岡町は、復興の最前線にいると言えます。

 私たちは、小高い丘のようになっている場所から富岡漁港を見学しました。そのため、漁港やその周辺をよく見渡すことができました。現在の富岡漁港は、防潮堤建設の真っ只中です。防潮堤が完成すると他の海岸と同じように、陸側の平地からは海がほとんど見えなくなってしまうかもしれません。見渡しの良い丘になっているところには震災以前、観陽亭という旅館があったそうです。今でも、観陽亭の一階部分と思われる建造物が残っていました。残っているといってもほとんど壁の部分だけでした。かなり高い位置まで津波がやってきたことが分かりました。

また、少し離れたところには福島第二原発が見えました。想像以上に海のすぐそばにあったことが印象に残っています。富岡港は、もともと断崖絶壁に囲まれたところです。海と山が近いのが特徴で、山の方に原発をつくっていれば津波に襲われなかっただろうと聞きました。海のすぐそばに建っているのも冷却のためだそうですが、そこに津波がきたという事実がある今考えると恐ろしいです。

 

防潮堤から内に入ったところには富岡駅があり、電車が止まっているのが見えました。未だ不通区間である富岡~浪江も、2019年度末には運転再開予定だそうです。町はまだ静かでしたが、これから訪れる人が増えるといいなと思いました。

 

地域の復興を引っ張っていく存在に

  1. 福島第二原発
  2. さくらモールのスーパー
  3. 旧エネルギー館の資料

 

昼食時間には、さくらモールに行きました。「さくらモール とみおか」は、2017年3月30日に全面営業が開始されました。4月1日からの避難指示解除に先立って、人々が生活できるよう基盤を整え、町民の帰還を促すことを目的としています。

さくらモールの中には、ホームセンターやドラッグストア、スーパー、フードコートがあります。フードコートは、飲食店はもちろんすぐ隣にスーパーがあるので、総菜などを買ってきて食べることもできます。スペースがそれほど大きくないのもありますが、ちょうどお昼時だったので相席しないと座れないくらい混雑していました。しかし、利用している多くの人は作業着を着ていて、原発関係の方たちのようでした。

今はまだ、帰還してきた住民というより廃炉作業員の方たちがよく利用していることが分かりました。避難指示が解除されて1年5か月程経ちますが、人が暮らすための基盤づくりの段階であることを改めて感じました。

 

さくらモールと道路を一本挟んだところには、「東京電力旧エネルギー館」があります。洋館風の外観で、風見鶏のついた立派な建物でした。中に入ると、思っていたより見学できるスペースが小さくて驚きました。

現在は、原発ツアーの拠点などを担っているようで、エネルギー館としての展示はほんの少ししかなかったです。展示の横には食券機があり、廃炉作業員の方がそこで食券を買ってから廃炉作業に向かうんだとおっしゃっていました。

現在では、展示が少ししかない旧エネルギー館ですが、今年の11月末には入場無料の「東京電力廃炉資料館」として旧エネルギー館をリニューアルオープンする予定です。

原発事故の記録を残し、長い年月のかかる廃炉の進捗状況をわかりやすく発信します。震災以前にエネルギー館として機能していたころは、地域住民を中心に原子力発電ついて知ってもらうための内容になっていたそうです。カフェコーナーや子どもの遊び場があり、大人も子どもも一緒に原子力について学ぶことができる施設でした。

廃炉資料館としてリニューアルしても、原子力発電自体やエネルギーについて学ぶことができる内容も残してほしいと思います。資料館がつくられることで原発事故が過去ものとして飾りになるのではなく、現在や未来のエネルギーについて考えられるような資料館になってほしいです。

 

双葉郡は、大きな漁港の無い地域です。その中で、富岡漁港は双葉郡南部のメインの漁港と言えます。資金力が必要な遠洋・沖合漁業はありませんが、沿岸漁業は活発でした。

また2019年度末には、現在電車が通ることができない常磐線の富岡駅~浪江駅間も開通する予定です。富岡町は双葉郡南部のメインの漁港がある町であったように、今度はこれから避難指示が解除される地域の復興を引っ張っていく存在になるのではないかと思いました。

 

イベント名筑波大学社会学類・いわきでの調査実習
日程2018年7月23日
  • 「筑波大生現地調査レポ20 復興の最前線ー富岡町」
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