今年、海と日本プロジェクト in ふくしまでは、福島の海の復興の現状や風評被害について現地調査を行う、筑波大学社会学類・五十嵐泰正ゼミとコラボ。学生目線で、そのリサーチ結果や感想をレポートしてもらう連載企画をスタートします。初めて福島の海を訪れる学生たち。福島の海は、彼らの目にどのように映るのか。これからの「海づくり」の参考にすべく、長期的に連載していきます。
筑波大生現地調査レポ vol.26
お酒へのこだわりを追求して
こんにちは!この度、海と日本プロジェクトに参加させていただいております、筑波大学社会学類3年の久保です。9月23日にいわき市のさんけい魚店で月に一度開かれる「さかなのば」を訪れ、MUMEの店主である梅谷さんにお話を伺いました。
「さかなのば」とは、普段は魚屋さんであるさんけい魚店が月に一度、日曜の夕方から夜にかけて地魚とお酒を提供する居酒屋さんとなるイベントです。2016年12月から始まったこのイベントですが、梅谷さんは始まった当初から、運営側の一人として参加しています。「美味しいお料理に合う、美味しいお酒を知って欲しい」という想いで、主にこだわりの日本酒、ワイン、ビールを揃えており、日本酒は特に人気で毎回売り切れると言います。
また、梅谷さんは「さかなのば」でお酒以外にもお酒のつまみになるようなお料理を出しており、この日は旬である「サンマのパテ」を用意していました。サンマをコンフィにして80〜90度のお湯で煮、フードプロッセッサーでぺースト状にすることで骨も頭も食べられるようになるそうです。また、この「サンマのパテ」と一緒に出していたパンはさんけい魚店さんの地下室を使って自家製で作っており、さんけい魚店さんと梅谷さんの強いつながりが伺えました。
梅谷さんはいわき市小名浜にある「MUME」の店主であり、今年の8月でちょうど4年目を迎えました。当初は東京でお店を出そうと考えていた梅谷さんですが、震災以降、月に一度いわきに帰るようになる中で、いわきの魅力を発信していきたいと思う方々に出会い、地元で自分のお店を出すことを決意したといいます。
木とコンクリートをコンセプトにした落ち着いた雰囲気の店内であり、種類豊富なワインと日本酒をメインに取り揃え、お酒のつまみとなる肴を提供しています。
梅谷さん自身お酒が大好きで、「良いお酒をみんなに知って欲しい、美味しさを共有したい」という想いでこだわりのワインや日本酒を集めているといいます。添加物をほぼ、もしくは全く使わない自然派ワインを中心に取り揃え、多い時は70〜80種類にものぼるそうです。日本酒はお燗にして美味しいかどうかを重視しているそうで、温めると、より味や香りが引き立つものが本当に美味しい日本酒であると語ってくれました。
私たちも24日の夜に、実際にお店に足を運びました。旬の魚を使った「サンマのコンフィ」や福島県産の桃を使った「桃の白和え」、「福島牛のメンチカツ」などの美味しい料理をいただきました。また、お客さんのその日の気分にあったお酒を勧め、提供する際にそのお酒の産地や特徴を丁寧に説明する様子が印象的であり、お酒に対する愛情が伝わってきました。
最近は、インスタグラムやツイッターを見て珍しい種類のお酒を求め、茨城県や千葉県からもお客さんが来るといいます。一方でお酒を好む地元の方々にも愛され続け、「小名浜には、こういうお酒がたくさん置いてあるお店はなかったからMUMEのようなお店ができて嬉しい」と、あるお客さんは話してくれました。
今回のインタビューでは、お酒について熱く語る梅谷さんの姿が大変印象的でした。そのようなお酒に対する熱意や愛情がお客さんにも伝わり、お店に足を運ばせる秘訣なのではないかと感じました。皆さんも是非、梅谷さんこだわりの美味しいお酒と肴を求めて尋ねてみてください。
イベント名 | 筑波大学社会学類・いわきでの調査実習 |
日程 | 2018年9月24日 |