今年、海と日本プロジェクト in ふくしまでは、福島の海の復興の現状や風評被害について現地調査を行う、筑波大学社会学類・五十嵐泰正ゼミとコラボ。学生目線で、そのリサーチ結果や感想をレポートしてもらう連載企画をスタートします。初めて福島の海を訪れる学生たち。福島の海は、彼らの目にどのように映るのか。これからの「海づくり」の参考にすべく、長期的に連載していきます。
筑波大生現地調査レポ vol.35
意外と簡単!ほっき貝料理
みなさん、こんにちは。筑波大学の小牧みのりです。11月10日(土)に、いわき市中央卸売市場で行われた「いわき魚塾のお魚さばき方教室」に参加してきました!
いわき魚塾とは、食の台所を担っている魚の卸業者や仲卸業者の方が、いわき市民や消費者の方に魚のさばき方から家庭で手軽にできる簡単な調理方法、さらに郷土料理まで教えてくださる魚食普及団体です。この同団体が開催するイベントは、魚食文化の普及や福島の海産物の風評被害の払拭、常磐もののおいしさを伝えることを主な目的としています。
今回のイベントに参加されていたのは、14人。みなさん、魚のさばき方を学びたい!と参加をされる主婦の方々が多かったのですが、その中には男性も数人おられました。
今回さばくのは「ほっき貝」。いつものイベントでは、いわきで獲れた魚産物を使うのですが、今回は残念ながら北海道で獲れたものを使います。しかしその大きさは、私の手のひら以上ありびっくりしました!ほっき貝は、まず貝柱を貝殻から外す作業をします。そして食べられない部分を取り除き、半分にさばけば終わりです。はじめは貝柱を外すのに苦戦をし、どこが食べられない部分かを見極めるのが難しかったのですが、やってみると簡単であっという間でした。
さばき終わるといよいよ調理へ。今回は、お刺身とさっとお湯で通した湯引きと天ぷらにしました。天ぷらは、油がはねないようにさっと水気を拭き取り、衣を付けて揚げれば完成!ずぼらな人でもできますね!
調理したほっき貝と一緒にいただくのは、しじみのお味噌汁と、メジマグロのお刺身。希少なマグロだそうですが、せっかく獲れたのでぜひ召し上がって欲しいと、仲卸業者のみなさんのご厚意でいただきます。いざ実食!さばいたばかりのほっき貝は、食感がありとてもおいしかったです。特に湯引きをしたほっき貝は臭みがなく、大好評でした。
イベント後には、いわき魚塾の企画・広報担当である天田祐一さんにお話を伺いました。はじめに「いわき魚塾は、日頃自分たち仲卸業者が直接接することのない消費者の方と魚食普及活動を通してコミュニケーションを取りながら、魚への理解とその魅力を伝えることを使命としています。」と話してくださいました。
料理をしながら参加者のみなさんとお話をしていると、福島の放射線の話にもなるといいます。調理をする際に参加者に、使用する魚産物がいわき沖で獲れたものだと話すと、県外に住んでいる方はいわきの魚が食べられることを知らないことがあるそうです。
また、「今福島の魚産物の抱える問題は何か?」と聞いてみると、「試験操業という言葉に抵抗がある人が多いことではないか」とおっしゃられました。だからこそこのようなイベントの中で、福島の魚産物の状況について知らない方がおられると、魚のプロであり魚について詳しくお話できる「魚の伝道師」として、魚の正しい知識や福島のお魚のおいしさを参加者に伝えることに意義があるとお話されていました。
また、「このイベントが料理の入り口になったら嬉しい」と話す天田さん。実際、このイベントに参加した後「包丁を買いました!」「家でもさばいてみました!」と話してくださった参加者がいたそうです。
最後に今後の展望を伺ってみました。「魚食普及や食育は家庭から、そして子供が中心なので、『親から子へ』をキーワードに家庭、学校、そして近い将来お母さんになる方をターゲットに活動していこうと考えています。」現状、いわき魚塾の参加者は、30代以上の方が中心となっています。これからは将来親になる若者世代に、魚のおいしさや調理方法を伝えることで、未来の子どもたちにさらに伝えてほしい、そんな思いを伺うことができました。
「最近、魚を食べていないな」そういう方は多いのではないでしょうか?私もそうでしたが、実際さばいていただいてみると、すごくおいしいことを改めて感じました。ぜひ、みなさんも魚を召し上がってみてはいかがでしょうか?少しチャレンジをして、魚をさばいて調理をしてみるといいかもしれないですね。
イベント名 | 筑波大学社会学類・いわきでの調査実習 |
日程 | 2018年11月10日 |