筑波大生現地調査レポ42 福島の魚って実際どうなの?

2019-1-23
海と日本PROJECT in ふくしま

 

今年度、海と日本プロジェクト in ふくしまでは、福島の海の復興の現状や風評被害について現地調査を行う、筑波大学社会学類・五十嵐泰正ゼミとコラボ。学生目線で、そのリサーチ結果や感想をレポートしてもらう連載企画をスタートします。初めて福島の海を訪れる学生たち。福島の海は、彼らの目にどのように映るのか。これからの「海づくり」の参考にすべく、長期的に連載していきます。今回が最終回となる本連載。学生目線のレポートをぜひご覧ください。

 

筑波大生現地調査レポ vol.42

福島の魚って実際どうなの?

 

みなさん、こんにちは!海と日本プロジェクトin福島に参加させて頂いています、筑波大学社会学類3年の坂倉と申します。11月22日筑波大学にて、筆者も所属している学生団体「僕らの夏休みProject」筑波大学支部のメンバーと共に、「福島の魚」をテーマとした座談会を行いました。参加者は6名、出身地も学内での専攻もバラバラな、被災地の福島から離れた首都圏で生活する大学生です。

7月に福島を訪れた際に印象的だったのは、現地の人々にとって震災と放射能汚染、それに伴う風評被害は7年経った今でも決して過去のものではなく、現在進行形で向き合わなければならない問題だということです。その一方で、直接的な被害を受けなかった人々との意識の差がかなりあるようにも感じられたため、福島県産の魚についてどう思うのか抵抗感を示すのかなど、今回はより本音を引き出せる座談会形式で調査を行いました。今回のブログでは、その座談会の内容をお伝えします。

 

まずは早速、福島県産の魚についてどのようなイメージがあるのかを、参加者へ単刀直入に聞いてみました。

そうすると、黒潮と親潮がぶつかる福島では魚が沢山獲れそうという声が上がった一方で、福島といえば果物など畑作の印象が強くそもそも港のイメージがない、また水産業といえば宮城や北海道を思い浮かべるという人も。日頃から産地を気にするというHさんも、「都道府県別」で選ぶというよりは「国産かそうでないか」という基準で産地を見ているため、福島県産を特別に意識する機会がなかったという声が印象的でした。

続いての話題は震災当時の話に。和歌山県出身のMさんは、スーパーで見かける海の幸といえば地元の和歌山県産が中心で、「放射能は自分の体には入ってこないもの」だと考えていたそう。その一方で福島県に隣接する新潟県出身のSさんは、中学生の時に福島県から転校生が来た経験もあり、震災や原発事故は身近な話題だったと言います。このことから震災や放射能汚染、それに伴う風評被害への意識は、やはり出身地など被災地との距離間も関係があると言えそうです。

そんな福島県の水産業について、現在は試験操業が行われていますが、これについて知っている参加者は一人もいませんでした。そこで筆者が震災時の放射能汚染やその後の試験操業について説明をした後、試験操業を経て流通した魚についてどう思うのかを尋ねてみました。

参加者は検査対象の魚ということで不安を覚えるのかと思いきや、「検査されていることで安全」という意識に繋がっていることが分かり、試験操業は消費者にとってプラスの判断材料として機能していると感じました。しかし検査によって放射能に対する不安というマイナス点がゼロになっただけで、福島県産が他県産と並べられた時はまた別の視点で購入を決めるという厳しい意見もありました。

 

「福島」に行って五感で味わう

  1. いわき沖にて釣りを楽しむゼミ生
  2. 復興が進む美しい小名浜港
  3. 筆者が福島で堪能したネギトロ丼

 

そして座談会の終盤、話は思わぬ方向へ向かいました。魚の調理をするにも魚のさばき方が分からない、という意見が出たところから「釣り、してみたいよね!」という声が。魚が好きではないと言っていた人も含めてみんなが「行きたい!」と大盛り上がりでした。そのため、学生を対象に自分で釣った魚のさばき方を教えてくれたり、調理してくれたりするイベント等があれば、魚に親しむ良い機会になりそうです。

このように例えば釣りをきっかけに、実際に現地へ行くことやそこで得られる経験というのはとても貴重な機会だと感じます。筆者も7月と11月に福島県に足を運んでいますが、現地でのヒトモノコトとの出会いやその時に五感で感じた「今」の福島を通じて、福島をより好きになり、身近に感じるようになりました。

普段魚をあまり食べないというみなさんも一度福島に足を運び、きらめく美しい海を見て、胸いっぱいに潮の匂いを感じ、復興し賑わう街の賑わいを耳にし、福島の人々の温かさに触れ、新鮮な海の幸を頬張り、五感で美味しい「福島」を味わってみませんか?きっといつも食べる魚を2倍美味しく感じる、そんな素敵な経験になるはずです。

震災から7年。地震や原発事故についての風化が進み、それに伴う風評被害も見えにくいものになっている今、今回の座談会は被災地から離れた場所で福島の魚についてあらためて考え、お互いの意見を交わす貴重な時間となりました。このリアルな声に、これからの福島の魚について考えるヒントがあると言えそうです。

 

イベント名筑波大学社会学類・いわきでの調査実習
日程2018年11月28日

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