こんにちは! 海と日本プロジェクトinふくしまレポーターの前野です!
新年度になりましたね。今年度も福島の海の情報を発信していきますので、よろしくお願いいたします!
4月といえば桜。今年は例年より桜の開花がはやく、ここ数日浜通り全体がお花見でにぎわっています。海と日本プロジェクトinふくしまでも、浜通りの海辺に咲く桜情報をお届けするシリーズ「桜が紐解く海辺のまち」を全4回にわたってみなさんにお届けします。第1回目の今回は、浜通りの最北端・新地町の桜情報をお伝えします!
まずはじめに訪れたのは、磯山展望緑地。磯山展望緑地は埒浜(らちはま)防災緑地の北部に位置し、車を数分走らせると宮城県との県境にぶつかる場所です。高さ14メートルの小高い丘からは太平洋が見渡せ、埒浜地区出身の歌人・本田俊子さんが読まれた歌が刻まれた「碑」があります。
磯山の 枯れ葦原乃 津波跡 舞ひていとほし 鎮魂の雪
丘から山の方を見渡すと、桜が咲いている小高い丘をみつけました。これが「花見の丘」です。あたりの景色はドングリの木や松の木など、広範囲にわたって緑が広がっているように思いますが、桜のピンクが見慣れた防災緑地の景色に彩りを与えてくれます。
磯山緑地内にあるあずまやが、海と桜を座りながら同時に眺められるちょうどいいスポット。海岸沿いを散歩している人やドライブ中に一休みしている方の姿がちらほら見られ、ゆっくり静かな時間が流れていました。
浜通りの沿岸一帯に広がる防災緑地で、桜がみられるのは磯山緑地だけ。防災緑地は地域住民の憩いの場になることも期待されていることから、花見の丘に咲く桜は、その目的で植えられたのではないかと推測できます。
埒浜防災緑地を後にし、震災後に整備された相馬亘理線を南下していると、小道を少しあがった場所に咲いている桜をみつけました。車では進むことが難しかったため、歩いて桜の咲いている場所に向かいます。
満開の桜の木が一本、そのすぐ隣に「大戸浜の明日を見守る慰霊桜」の文字が刻まれた石碑と、枝が数本しかない約3メートルほど小さな桜の木がありました。近くには、海難事故で亡くなられた方々を供養する石碑も立てられていました。
この桜を植樹したのは、大戸浜地区のみなさんとNPO法人さくら並木ネットワークのみなさんです。さくら並木ネットワークは、津波を後世に伝承するという目的で、岩手県・宮城県・福島県の沿岸部に桜の木を植樹しています。
大戸浜地区では、2016年3月16日に大戸浜観音堂に桜が植えられました。この場所は、明治時代以前から海の事故で亡くなられた地域の方々を供養する墓地であり、ここに桜の木を植えたいという当時の大戸浜区長の依頼を受けて、植樹が実施されたそうです。
「大戸浜の明日を見守る慰霊桜」の文言も区長の浜野さんが考案されたもので、慰霊と伝承、両方の意味が込められた桜であることがわかりました。はじめはなぜひとめのつかないこの場所で桜が咲いているのか不思議に思いましたが、大戸浜地区のご先祖さまが桜の木とともに、遠方から海と地域を見守ってくれているように感じました。
シリーズ「桜が紐解く海辺のまち」第1回はここまで。第2回目は、新地町・南部の桜情報をお届けします。お楽しみに!
海と日本プロジェクトinふくしま レポーター 前野
イベント名 | 桜が紐解く海辺のまち〜①新地町の桜〜 |
日程 | 2023年4月5日(水) |
場所 | 新地町沿岸 |