みなさん、こんにちは。海と日本プロジェクト in ふくしまレポーターの松井です。
この夏、実家のある福島市に帰る用事がありました。普段なら高速道路を使っていわきに戻るのですが、相双地域の方にも足を延ばしてみたいと思い、海沿いをドライブしながらいわきに戻ってきました。今回はその時に訪れた、請戸漁港とその周辺の様子をレポートしていきます。
請戸漁港では2020年4月に震災以来9年ぶりに競りが再開されたそうなので、朝に来るとまた違った印象を受けるかもしれませんが、この時は静かな印象を受けました。漁港の方には釣りに来ている人をちらほらと見かけますが、漁港周辺はほとんどが更地になっていて、ほとんど人気がありませんでした。私は請戸地区を訪れたのは、この時が初めてだったので、現在の風景が初めて見る景色になります。震災以前のここはどんな場所で、どのような暮らしが営まれていたのか、私には思い描くことができません。
この後、帰宅困難区域に指定されている大熊町、双葉町を車で通りました。道路沿いにある建物は錆付き、植物に浸食され始めていました。普段自分が暮らしている場所も、山を切り開いて造成された住宅地なので、数百年などの大きなスケールで見れば自然に帰還っていくのかもしれないのですが、普段生活しているときは全くそういうことを意識しません。請戸漁港周辺の景色は、大熊町・双葉町の景色と合わせて、自分たちは自然の中に活きているのだということを思い起こさせました。
港の周辺を歩いていると、防潮堤の一部に魚の模様が施され、青く塗られていることに気付きます。防波堤の均質な灰色が続く中、こうした工夫があると景色がユニークになるなと感じました。実際に、防波堤アートというのは、全国的に広がっているらしく、住民参加で新たな景観を作っていくことができれば面白いのではないかと思います。
請戸漁港から少し歩くと、請戸小学校があります。請戸小学校は震災遺構としての保存が決まっており、今月の24日から一般公開される予定になっています。校舎の周りはしんとしていて空気が張り詰めており、工事をしている重機の音だけが遠くの方から聞こえてきます。震災以前は、子どもたちの声が響きまわる場所だったのでしょうか。
周りの建物がほとんどなくなってしまっている中、請戸小学校が震災遺構として残ることで、当時の街の風景を思い起こしたり、思い描いたりするきっかけになるのではないでしょうか。みなさんも、一般公開が始まったらぜひ訪れてみてください。
海と日本プロジェクト in ふくしまレポーター:松井武郎
イベント名 | 相双地区をドライブ④ 請戸漁港 |