みなさん、こんにちは! 海と日本プロジェクト in ふくしま、レポーターの染矢です。
先日、いわきでは10月だというのになんと30度を超える真夏日を記録しました。秋から夏に季節が逆戻りし「一体、秋はどこへ行っちゃたんだ?!」と叫びたくなるほどの暑さ。
そんな時はなんだか無性に海が恋しくなります。ということで涼を求めにやってきたのは、いわき市南部に位置する岩間海岸。前編となる今回は、「海×〇〇」をテーマにレポートしていきたいと思います。
秋とは思えない燦々と太陽が降り注ぐ休日の午後、岩間地区に向かって車を走らせます。車の温度計は32度を示し、車内のエアコンはフル稼働。半袖を着て、おやつのアイスまで食べていた私の気分はすっかり夏一色です。
岩間海岸が近づくと、まず先に目に入ったのがそびえ立つ常磐共同火力勿来発電所。そのすぐ横に雄大な太平洋が広がっています。
自然を象徴する海と、そびえ立つ無機質な人工物が隣り合うという、これまで訪れた海岸にはなかったコラボビュー! 工場マニアである私にはたまらない景色です。
この発電所は地元で「勿来火力」と呼ばれており、いわき屈指の工場夜景スポット。モクモクと煙を上げる煙突はスタイリッシュで、その姿はどこか東京タワーを連想させます。夜には、東京タワーに負けず劣らず美しいカラーでライトアップされ、勿来の夜を照らしているそう。
真昼間に訪れたことを後悔しつつも、工場夜景の名所を知ることができただけでも大満足です。
車から降りて、早速海岸へ。防災緑地を歩いていると、なにやら巨大な卵を発見! 案内板によれば、このモニュメントは「きみと」と呼ばれるタイムカプセルだそうで、東日本大震災の記憶を後世に伝えるため、津波で被災した当時の記録が収納されています。
震災当時、岩間地区は防波堤が根こそぎ壊れるほどの大きな津波に襲われ、多くの家屋が被災しました。その後、防波堤や防災緑地が整備されたものの、周囲を見渡してみても海岸の周りには民家の姿はほとんどなく、どこか物寂しい雰囲気が漂います。
さらに、防災緑地には、津波で壊された防波堤の一部が設置されています。案内板には震災の記憶を風化させないためにと地元の方々からの要望があり設置されたと書かれてあります。
防波堤の一部といっても、その重さはなんと約63t。コンクリートの塊を打ちくだいてしまうほどの想像を越える津波の威力を目の前にし、思わず言葉を失います。
これまでいわきの海を何箇所か訪れてきましたが、どの海岸へ行っても必ず何かしら震災の跡を感じてきました。その度に、辛い過去が残る場所だから行かないのではなく、その記憶を忘れないために、これからもいわきの海に行き続けるんだと心に誓うのです。
今回は、特に震災の記憶を濃く残す場所だったので、その反動でいわきの海をもっと楽しむんだという気持ちが強くなりました。
イベント名 | 秋の真夏日に過ごす海がサイコーだった!〜海と〇〇編〜 |
埼玉県所沢市出身。2021年にいわき市へ移住。旅行ガイドブックの編集・ライターを経て、現在いわき市でフリーランスとして活動中。