みなさん、こんにちは。海と日本プロジェクト inふくしま、事務局レポーターの小牧です。
いわきに来てから約1ヶ月がたちましたが、美味しいお寿司を食べたり朝の魚市場を見に行ったりして、海のある日常に少しずつ慣れてきているように感じています。いわきに来る前から、いつか自分も魚を捌きたいと思っていた私ですが、ついに先日、アジの捌き方を教えてもらいながら、自分で魚が捌けるようになりました!
実は、この日のために魚を捌くための和包丁と砥石を購入したり、初心者はアジの三枚おろしからはじめるのが良いというアドバイスをもらったりと、ひっそりと準備を進めていました。そんな準備の甲斐あって実現した、今回のアジ捌き体験。今回は、私が挑戦したアジの三枚おろしからなめろうにするまでの過程と結果、そして教育に引きつけて私が考えたことをみなさんにお届けしたいと思います。
教えていただいたやり方は次の通り。頭を落とす、内臓をとる、骨から身をはがす、皮をはぐというのが大まかな流れです。
1.アジを全体的に軽く水で洗う。 2.ぜいごを剥がす。 3.うろこをとる。 4.真っ直ぐ下に包丁を入れて、頭を落とす。 5.尻の穴から頭と尾の方へ切り込みを入れて内臓を綺麗にとる。 6.まな板にアジを置き、頭側から尾側に向かって中骨を感じながら身を切り離す。 7.裏返して、同様に身を切り離す。 8.身から腹骨を包丁で取り除く。 9.身から皮をはがす。
やってみて一番難しかったのは、最後の皮をはがすところ。それまでの工程で時間が経ってしまい、鮮度が落ちてしまったのだと思います。また、頭を切り落とすのもなかなか力のいる作業でした。小さな魚でも骨に包丁を入れるのはこんなに大変なのか、と驚きました。
アジのなめろうの作り方も教えていただきました。
1. 大葉を細切りにする。 2.身を細かくする。ペースト状になるまで細かくしない。 3.大葉とネギを加えてながらたたく。 4.みそと生姜を加えて味を整える。
アジのなめろうを作りながら、海なしの栃木県から千葉県へと大学進学で移り住んだ私が、「なめろう」という食べ物に出会い、感動したのを思い出していました。なんてなめらかで、脂が甘くて、臭みがないんだ! と。
そして当時、なめろうを作れる人には尊敬の眼差ししかありませんでした。なぜなら作り方の想像が全く及ばなかったからです。それから10年。アジのなめろうを作りながら、ようやく作る側に仲間入りすることができて、私も大人になれたんだなとしみじみしていました。
この日は、アジの捌き方講座も開いていただき、三枚おろしと干物の捌き方の二つを学ぶことができました。おいしいものが作れるというゴールがあったからこそ、楽しみながらアジを捌くことにチャレンジができたのかなと思います。
【福島で教育を考える】シリーズとして、今回もこの経験を教育にひきつけて考えてみました。現在、学校で学ぶ内容は文部科学省によって発行される『学習指導要領』というもので定められており、何歳の時点で何を学ぶかが決められています。また、どのように学ぶかという方法についても、学校の先生や研究者などによる知見の蓄積によって、この内容ならこういう方法がいいのではないかということが考えられてきました。
しかし、これまでのようないつまでにどんな内容を学ぶかを大人の都合で決めるだけでなく、「これから学ぼうとする子どもは、どんなゴールやインパクトのある経験ならワクワクするだろうか?」 ということも同時に考えていく必要がある。今回のアジ捌きを楽しめた自分の経験を振り返り、こんなことを感じていました。
授業をする先生は、いつまでにこの内容を教えなければならないという意識を常に持っています。しかし、「今日は〇〇の内容を学ぶのがめあてです」と言わずに、「こんな楽しいことができそうだから、この内容を伝えるよ」という伝え方をしたらどうでしょうか?
「包丁の使い方を覚え、アジの体の構造を知り、なめろうの作り方を暗記できるようになってから、アジの捌き方を教えますね」と言われてアジのことを知るのと、「いわきの海でよく釣れるアジを使った美味しい料理をみんなで食べたいから、捌き方を伝えますね」と言われてアジのことを知るのとでは、アジに触れる子どものモチベーションが少し変わると思いませんか?
〇〇に役立つから〇〇を学ぶ、〇〇を知ることは大切だから学びましょう、ということは分かりやすい考え方だと思います。しかし、このような考え方はその目標に共感できない人をは置いてけぼりにしてしまいます。〇〇は楽しいから〇〇をやってみよう、と思わせる何かを考えながら授業を作り、少しでも楽しく学べる子どもが増えたらいいなと思いました。
海と日本プロジェクト in ふくしまレポーター 小牧
イベント名 | アジ捌き |