レポート
2018.11.09

筑波大生現地調査レポ28 六本木ヒルズで発信、福島の魅力

 

今年、海と日本プロジェクト in ふくしまでは、福島の海の復興の現状や風評被害について現地調査を行う、筑波大学社会学類・五十嵐泰正ゼミとコラボ。学生目線で、そのリサーチ結果や感想をレポートしてもらう連載企画をスタートします。初めて福島の海を訪れる学生たち。福島の海は、彼らの目にどのように映るのか。これからの「海づくり」の参考にすべく、長期的に連載していきます。

 

筑波大生現地調査レポ vol.28

六本木ヒルズで発信、福島の魅力

 

みなさん、こんにちは。筑波大学社会学類2年の河下未歩です。10月20日、21日に東京・六本木ヒルズで開催された「福島フェス」に参加してきました。福島の食を楽しむお客さんの姿と、いわきから出店されていた「海産物専門 おのざき」の小野崎さんの想いをお伝えします。

福島フェスのテーマは「感じる、楽しむ、ふくしま」。お米や海産物、日本酒からラーメンまで、福島の美味しいものが所狭しと並び、福島の海の幸山の幸を存分に味わえるイベントとなっていました。グルメだけでなく、豪華なステージも見所。福島に縁あるミュージシャンのライブやTOKIOの城島さんのトークショーもあり、子ども連れから年配の方まで幅広い年代の人たちが楽しまれていました。

 

長く時間はかかると思うけど、地道にやっていくしかない

  1. 今回お話を伺った小野崎さん
  2. 小野崎さんお手製のホタテの豪華プレート。普段スーパーで買う魚とは断然違って、格別に美味しかったです。
  3. 福島への想いを書くスペースも。私たちも書かせてもらいました。

 

今回お話を聞かせていただいたのは「海産物専門 おのざき」の小野崎幸雄さん。長年、福島いわきで魚の小売店を営まれている方です。福島フェスへの出店はいわきからの出店者が一人もいなかったことがきっかけ。今年は福島で採れたホタテの貝殻の上に牡蠣やウニなどを乗せ、チーズで炙った、豪華なプレートを販売されていました。東京の人向けに少し小洒落た、お酒に合うものを意識されたそうです。

 

実は震災前までは福島の魚の魅力に気づいていなかったと話す小野崎さん。でも震災後、他県産の魚を食べて感じた「物足りなさ」。この物足りなさに今まで当たり前に食べていた福島の魚の美味しさを実感したそうです。お客さんからも震災後、県外産に産地替えして加工した製品に、「今までのと違う」、「前の方が美味しい」という声があったというお話も聞かせてもらいました。

 

震災からもうすぐ8年。1番変化したことは「宅急便で家族や友達に、福島県産の贈り物をする人が減ったこと」。実は、夏の合宿でいわきの「大川魚店」の大川さんからも同様のことをお聞きしました

自分で食べる分には構わないが、他人に福島県産を贈ることに躊躇する人もいると、小野崎さんは話されていました。一度嫌だと思ったものに人はすぐには戻ってこない現状。

福島の魚は美味しいと理解している地元の人でも、他県の家族や友達に贈ることをためらう実際。そこが1番難しいところであり、つらいところでもあると語っていました。だからこそ、福島フェスのようなイベントで「安心・安全」を伝えていきたいと意気込む姿もありました。

 

お話の中で、1番忘れられないのは「長く時間はかかると思うけど、地道にやっていくしかない」と話す小野崎さんの横顔。福島に身を置く決意と、反面どこか寂しさが入り混じった表情でした。

そして佇まいから伝わる、長年福島で魚を売ってきたという誇り。大学生という立場の自分、九州生まれでつくばに暮らす自分には想像つかない重みと責任感を感じました。「小さいことをやれるだけ長く続けるしかないでしょ」と語る小野崎さんからは揺るぎない熱い闘志が伝わってきました。

 

フェスへ東京からの来場された方の中には「福島のことを応援している」「福島の食や酒が美味しい」という声も。年齢、国籍を問わず、お客さんたちが福島の食を美味しそうに頬張り、福島のお酒を嗜む情景がありました。長い時間を費やすかもしれませんが、少しずつ色んな人に福島の魅力や美味しさを伝えていけるとよいのではと思います。そんな私も福島フェスを存分に楽しませてもらった一人。福島の美味しさを再発見できた一日となりました。

 

イベント詳細

イベント名筑波大学社会学類・いわきでの調査実習
日程2018年10月20日
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