今年度、海と日本プロジェクト in ふくしまでは、福島の海の復興の現状や風評被害について現地調査を行う、筑波大学社会学類・五十嵐泰正ゼミとコラボ。学生目線で、そのリサーチ結果や感想をレポートしてもらう連載企画をスタートします。初めて福島の海を訪れる学生たち。福島の海は、彼らの目にどのように映るのか。これからの「海づくり」の参考にすべく、長期的に連載していきます。
筑波大生現地調査レポ vol.41
皆さん、魚食べていますか?
みなさん、こんにちは。筑波大学社会・国際学群社会学類の菅野です。先日、魚や福島の水産業について学生はどう考えているのか調査すべく、学生座談会を行ってきました。今回はその様子を2回に分けて報告させていただきます。座談会に協力してくれたのは、東日本大震災の被災地である岩手の小学校と交流を行う団体、『僕らの夏休みProject』筑波大学支部に所属する学生6人です。6人は出身地も学年もバラバラで、様々な視点から貴重な意見を聞くことができました。
座談会の前半は、福島からはいったん離れ、主に魚自体への関心を聞きました。これを読んでいる皆さん、魚ってよく食べますか?和食のメインである魚ですが、今、特に若者の間では深刻な魚離れが起きているようです。筆者自身、魚は好きなのですが、肉と比べると圧倒的に食べる頻度は少ないです。なぜ若者は魚を食べないのでしょうか。
魚を食べないということは、そもそも魚自体が嫌い、もしくは苦手なのではないかと思い、座談会は「魚って好きですか」の質問から始めることにしました。すると、意外にも6人中5人から「好き」という答えが返ってきたのです。
もしかしたら、ここに集まったメンバーは日常的に魚を食べているのではないかと思いましたが、それは違いました。実家暮らしをしている一名を除くと全員が「魚はほとんど食べない」と回答しました。つまり、「若者の魚離れ」は決して魚を嫌いになったから起こっているのではないようです。では、一体何が魚を遠ざける原因になっているのでしょうか。
話を聞くうちに分かってきたのは、魚を食べる環境さえ整っていれば魚を食べたいと思っている若者は多いのではないかということです。もちろん好みとして、魚より肉派であるという意見も多かったのですが、魚ももっと食べたいという気持ちはあるようでした。また、肉ばかりに偏ってはいけないとの意識もあるようでした。
どんな魚をよく食べるかという質問に対し、返ってきたのはツナ缶や鮭フレークといった加工品、それから、調理が比較的簡単な鮭の切り身など。魚を遠ざける原因には、魚の調理の手間が一番大きく関係しているようです。それでも、サンマが旬の時期には買って焼くと言っている学生もいましたが、魚の調理は肉よりも時間や手間がかかってしまうというのが全員の共通認識のようでした。中でもグリルの片づけが面倒だという意見は多かったです。
それでは、実際どのような視点・基準で普段魚を購入するのかを聞いてみました。参加者の学生のほとんどは、値段の安さが一番に気になり、産地などにあまり関心がない様子が伺えました。その中で魚と肉の比較を行い、「肉は値引きされても買うけど、魚は値引きされていたら買わない。」と答えた学生に参加者一同はびっくり。その理由を聞いてみると、必ず火を通して調理する肉に対して魚は生で食べる機会が多いため「鮮度」が気になるとのこと。思わずなるほどと思いました。
このように普段はあまり魚を食べないという参加者のみなさんですが、最後にどのような商品や取り組みがあれば魚を手に取ってみようと思うのか、リアルな声を聞いてみました。
まず挙げられたのは、よくコンビニなどで目にする調理の簡単なレトルトパック。活用方法はサバの味噌煮をおかずにしたり、ホッケ貝はお酒のつまみになったりと自由自在。その手軽さが便利だと言います。また、肉などと同じようにフライパンで焼くことができるものや、元から味がついているものは調理も重宝するようです。さらに、魚のさばき方を知りたい、釣りをやってみたいなど、参加者の声を聞いてみると魚を手に取ってもらうための入り口は意外と沢山あるように感じました。
魚は食べたい、でも手間がかかるし面倒くさい。そんな学生たちの本音が見えてきました。しかし魚の話をするうちに「魚食べたくなってきたなぁ」という声も。そう感じたらその日のご飯は魚料理で決まりですね。私もこれから、おいしく食べられる、簡単魚料理を探していきたいと思います。
イベント名 | 筑波大学社会学類・いわきでの調査実習 |
日程 | 2018年11月28日 |