筑波大生現地調査レポ44 地元スーパーとしての地産地消への思い

2019-1-23
海と日本PROJECT in ふくしま

 

今年度、海と日本プロジェクト in ふくしまでは、福島の海の復興の現状や風評被害について現地調査を行う、筑波大学社会学類・五十嵐泰正ゼミとコラボ。学生目線で、そのリサーチ結果や感想をレポートしてもらう連載企画をスタートします。初めて福島の海を訪れる学生たち。福島の海は、彼らの目にどのように映るのか。これからの「海づくり」の参考にすべく、長期的に連載していきます。

 

筑波大生現地調査レポ vol.44

地元スーパーとしての地産地消への思い

 

みなさん、こんにちは!「海と日本プロジェクトinふくしま」に参加している筑波大学社会学類3年の澤畠圭佑です。私は、12/5(水)に福島県郡山市に本社を置き、福島県を中心に宮城県、山形県、栃木県、茨城県の5県に広く店舗展開をする、株式会社ヨークベニマルさんに取材をしてきました。

お話を伺ったのは、主にいわき地区の鮮魚の集荷を担当している高橋さんと、福島地区の鮮魚の集荷を担当している林さんです。震災後の風評被害や、福島の水産業の現状と今後など、様々なお話をしていただきました。

 

何よりもまず、福島の方々のもとに

  1. 小名浜リスポ店に並ぶ、福島県「前浜もの」のカレイのコピー
  2. 「福島県産フェア」のお知らせ
  3. ヨークベニマル創業者のお言葉

 

震災、そして原発事故後、東京の築地で鮮魚の集荷をされていた高橋さんは、築地でも、また、福島県内のいわきでも福島県産の鮮魚がほとんど売れないことを目の当たりにして、「風評被害ってあるんだ」と実感されたそうです。また、ヨークベニマルの従業員からも「この魚売っても大丈夫なの?」という声があがるほど、事故直後の福島県産の水産物に対する不安は、根深いものがありました。

ここ最近では、アンケートで、放射能を気にすると答えたお客様は「15人中1人」と、福島県産の鮮魚に対する不安は、徐々に払拭されつつあるといいます。とはいえ、1人は放射能を気にすると回答しているように、不安は必ずしも0になったわけではありません。林さんは、特に、小さい子供がいる女性に、放射能を気にする方が多いとおっしゃっていました。

いま、風評被害とともに、福島県の水産業が抱える大きな問題は、水揚げ量が少ないということです。震災後、漁師やセリ人など、水産業に関わる人が減ってしまったことや、試験操業により漁に出る日が限られてしまったことによって、福島の港に水揚げされる魚は大きく減りました。

特に、以前は宮城県や茨城県の沖合で2泊・3泊して漁をしていた大型の底引き漁船が、日戻りで漁をするようなってからは、キンキやメヒカリといった、県民におなじみの魚があまり出回らなくなってしまいました。

ただ、日戻り漁が増えた福島では、店頭に並ぶ魚は獲れたてのものが多く、鮮度がいいものばかりです。たとえば、唐揚げで食べることの多いメヒカリも、福島では、刺身でも食べられるそうです。高橋さんは、鮮度はどこの水揚げ地よりも良いとおっしゃるほど、今の福島産の鮮魚に大きな自信を持っています。

おふたりは福島の魚のモノの良さを、繰り返し強調していました。一部の料亭や魚食文化のある地域では、徐々に福島産の鮮魚の支持が増えてきているようです。また、青森や大阪といった、福島から離れた地域で、福島産の鮮魚を指名買いする仲買人もいるようです。しかし、福島県産の鮮魚を評価する声も多くありますが、全国的にみると、福島産の魚の認知度はまだまだ高くはありません。 

まだまだ福島の水産業が活況を取り戻せていない一方で、農産業・畜産業はPR事業にTOKIOを起用し、積極的に情報発信をすることにより、今では震災以前の売り上げを上回っている部門もあるそうです。おふたりは県内・県外問わず、福島の水産業をPRすることの重要性を認識されています。

 

ヨークベニマルでは、先日、「福島県産フェア」と銘打って、県産の農産物・畜産物・水産物を販売するイベントを、県内の全店舗で行いました。県産の農林水産物の魅力を知っている福島の方々が大勢足を運び、イベントは大変盛り上がりました。なかには、福島の「農林水産物を応援したいから」という気持ちで来られた方もいたそうです。おふたりは、今後、県産フェアを県外でも開催できたらいいな、とおっしゃっていました。

しかし、何よりもまず、福島県内の水産業が活気を取り戻し、福島の方々のもとに鮮魚が十分に届けられるようになることが、最優先だと考えているそうです。県内に必要十分な量の鮮魚が確保されないまま、県外に大きく売り出してしまうと、必ず立ち行かなくなり、県内も県外も共倒れしてしまう恐れがあるからです。

「まずは基盤となる地元を固めてから」と語るおふたりからは、地元に根差して展開してきたスーパーとしての役目を務めるという使命感と、地域のお客さま第一という企業精神を感じました。

 

イベント名筑波大学社会学類・いわきでの調査実習
日程2018年12月5日
  • 「筑波大生現地調査レポ44 地元スーパーとしての地産地消への思い」
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